2021年08月04日

こども庁とは?役割期待や設立に向けた動向

「こども庁発足」「こども庁創設議論」などという見出しとともに、最近のニュースなどでよく「こども庁」という言葉を目にする機会が増えてきました。
現在、政界では「デジタル庁」に続き、時代の流れに則した新しい行政機関を設立しようとする動きがあります。

今回の記事では「こども庁」設立までの流れや、担うであろう役割、今後の課題などについてまとめていきたいと思います。
果たして日本のこども支援にどのような影響をもたらすのでしょうか。

こども庁とは?

「こども庁」とは、こどもへの支援を一本化して行うために構想されている新省庁の名称です。

2021年4月、深刻な少子化問題や、こどもの福祉問題を解決すべく、自民党有志の議員からこども庁の創設を緊急提言で申し入れしたことをきっかけに、大きな話題となりました。
菅首相が前向きな姿勢を示したことから、同年6月には加藤官房長官をトップとする準備室の立ち上げが始まり、現在では2022年度中の創立を目標に調整が進められています。

 

こども庁の創設時期は?「なぜ」このタイミングなのか

先述した通り、現時点で「こども庁」を創設するのは2022年度中が目標となっています。

提言から着手までわずか数カ月で動き出したこども庁創立案に関して、一部の方々からは「自民党の選挙対策」という声も聞こえてきます。
タイミングだけを見ると、そのように思われてしまう可能性はあるかもしれませんが、「こども庁」の創立は選挙対策だけとも限りません。
きっかけの一つは、数年前に起こった「転居の際に自治体間の情報の引き継ぎがスムーズにいかなかったため、起こってしまった」と言われている、悲しい幼児虐待事件です。
そして、もともと低迷していた日本の少子化問題ですが、ここ数年で更に深刻化しているという現状もあります。

しかし、子どもに関連している政策・制度は多省庁が管轄しているため「こども庁」へ一本化するのにはシステムの引き継ぎ・責任者の配置などが必要となり、時間を要することが想定されます。
また新型コロナウイルスの終息に日本国中が尽力している中、設立がスムーズに進まないかもしれないということも懸念されていて、2022年度中の創立は難しいのではなかろうかという見立てもあるようです。

世論調査では、主に20代から30代の女性、特に子育て中の家庭から強い関心が向けられています。
具体的な意見としては
「こどもの未来を守るために早急に必要だ」
「設立だけで現状の問題が解決するとは思えない」
「自治体によって違うこどもの制度が統一化されるなら良い」
など、賛成・反対双方の意見が上がっています。
また、「こども庁」への要望は教育・保育・少子化対策が上位を占めています。

 

現行のこども支援と、こども庁の果たす役割は?

現在、日本の「こども」に関する政策は複数の行政機関が行っています。

例えば、厚生労働省が母子手帳の発行や保育園・医療的ケア児の対策、予防接種・乳児検診を行い、文部科学省が幼稚園や学校教育・学校でのいじめ対策などを、法務省が少年院や厚生施設などを管轄しています。
それとは別に内閣府が認定こども園やベビーシッター対策、少子化政策などを行っています。
そのため、相談する先や行政手続きが複雑化し、対応が遅れてしまうことも社会問題となっています。

「こども庁」が創設された場合、これらの「こども」に関する制度や取り組みが一本化される予定ですが、問い合わせ先に迷ってしまったり、支援を求める人々がたらいまわしにされたりすることなく、早急な支援が受けられるようになることが最大の利点だと言えます。

こどもへの支援が一本化することで期待される効果は大きく分けて3つあります。

(1)子どもの発達の支援
保育園や幼稚園などの未就学のこどもが通所する施設での、こどもの権利・教育・健診などを統一させ、経済的側面が起因となる教育格差を最小限に。
また、日常的に医療行為が必要な児童や障害児の教育・発達も積極的に支援することができる可能性があります。

(2)子どもへの暴力・虐待への早期対応
学校でのいじめ、家庭内での暴力、児童虐待などの問題を一元的な対応で、今よりも早期に発見することが可能になります。
児童への虐待にとどまらず、望まない妊娠をした女性への支援や経済的な理由で出産を諦める家庭にも寄り添うことも。
こどもの生命を守るために何よりも必要な、早期発見・早期対応に取り組むことが可能に。

(3)政策の充実
周産期医療・小児医療体制の整備や、産前産後支援・不妊治療支援の充実などが期待されます。
また、こどもを主軸にした「チルドレン・ファースト」な政策や法の立案が効率的に行えるようになります。

 

こども庁創立の課題と今後の取り組み

子どもの安全や権利を第一に考え、子育てをしやすい社会を実現するという目標に異論を唱える人はいないでしょう。

しかし、現行の子育て支援制度が新庁の管轄に移行する際には、少なからず混乱が発生することが予想されます。
例えばさまざまな給付金の支給が遅れたり、問題のある家庭への対応が遅れたりすることで、困窮する子どもが一時的にでも増えてしまう可能性も。
また「こども庁」では就学前児童を支援していくという案があるようですが、その案が通った場合、小学校以降の義務教育期間のいじめ・児童虐待問題に関して、どの省庁が支援していくのかということも考えなければなりません。
さらに医療の拡大・支援に関しては、現在厚生労働省が管轄してまとまりを得ていますが、小児科医療は切り離されてしまうのではないだろうかという不安の声も上がっています。

新庁の設立が、結果として新たな「縦割り行政」を生み出したり、行政手続きが複雑化したりしないように「各省庁が管理していく中で問題となっていたこと」をしっかり洗い出し、対立し合うことなく、今後に向けて協議しながら取り組んでいく必要があるでしょう。

国民が「こども庁」に期待しているのは、素早い設立ではなく政策の実効性です。
新庁設立という話題が盛り上がりを見せていますが、こうした課題を残したまま見切り発車しないためにも、まずは現状の把握とぬかりない準備・情報共有が必要だと感じます。

 

まとめ

次代の日本を担っていく「こども」は国の宝。

「幼保一元化」や「就労と子育ての両立」など多省庁が関わる問題に関しても、今以上のスムーズな対応が、実働する行政機関の方々へ求められるようになるはずです。

「こども庁」という器を作るだけに留まらず、まずは「今までのスキームではどのような課題が残っていたのか」ということを明確化し、こどもが安心して暮らせる、そして笑える環境を整えられれば、未来も明るくなるのではないでしょうか。

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