子育て世代へのサポートで大切なこと、積極的に取り組む自治体のご紹介

子どもが育つ過程において、経済的支援や環境の充実はとても大切です。

 

内閣府が掲げる『少子化対策』や『子ども・子育て支援新制度』により、近年では各自治体でも地域の特色を生かした様々な取り組みがなされています。その中で、『育児相談』を取り組みの一つとして行なっている自治体も多いのではないでしょうか。

 

子育て世代の悩み事は、経済面、環境面、人間関係、親自身の悩み事、子供に関すること等、ここに挙げ切れない程多様で複雑です。周囲に話せる人がいても、その悩みの本質までは相談できず、一人で抱え込むケースもあります。

 

そのようなメンタルケアが必要な状態の子育て世代が悩みを解決したいと思った時、どれ位の人が自治体の『育児相談』を利用する、したいと思うでしょうか。

 

人には言い難いデリケートな内容であったり、このような事をわざわざ相談しても良いのだろうかと二の足を踏んでしまう場合や、ストレス状態が続き気力が低下している時は、電話をかけるという一つのアクションも難しく、日々の育児や家事などやるべきことに追われ、抱え込んだままの状態が続く場合も考えられます。

 

子どもを育てる親が心の問題を抱え続けていると、育児においても影響が出てくることは容易に想像できます。

 

この記事では、そんな子育て世代が抱えやすい心の問題について、症状や原因等を改めて考えてみます。それらを予防・改善するために自治体が行なっている事例も取り上げながら、コロナ禍で益々孤立化しやすい子育て世代へのメンタルケアの参考にしていただけると幸いです。



産後うつについて

時期:産後1ヶ月以内から6ヶ月に起こる場合がある

期間:人により2週間から数ヶ月間続く場合がある

症状:イライラ・気分の浮き沈み・焦燥感・不安感・無気力・不眠等個人により様々
※上記は個人差があります。

 

産後すぐに始まる子育て、大きく変わった生活環境へ適応するために親自身も必死です。

 

そんな中で感じる子育てへの責任感やプレッシャー、昼夜問わずの授乳等で睡眠不足が続き、産後身体的に受けたダメージもなかなか回復しないなど心身ともに疲労が蓄積していきます。

 

このような状態は誰もがなりうる可能性があり、周囲のサポートや本人がそれらを軽減できるような環境が必要です。
 



育児ノイローゼについて

原因:子育てへの責任感/プレッシャー、精神的ワンオペ(夫・パートナーの子育てへの理解や精神的な支えがないと感じる)、孤独感、経済不安等
症状:イライラ、気分の浮き沈み、焦燥感、不安感、無気力、不眠個人により様々
※上記は個人差があります。

 

現在の日本の子育ては、【一人の親に対して、子ども一人~複数人】という状態で日々過ごしている親子が多くいます。親の意識は常に子供に向けているため、気を張っている状態が続いています。

 

子育て世代のストレスや大変さというのは、様々な要因(子供の性格、子育て環境、周囲のサポート体制、親自身の性格等)が複雑に絡み合っており、子育てをする本人が感じる苦しさを周囲が完全に理解するのは、なかなか容易なことではないかもしれません。

 

ですが、家族をはじめ周囲の人達のささやかなサポートや心の支えがあるだけでも精神的負担は変わってきます。また、育児ノイローゼといっても四六時中明らかに悩み苦しんでいるような状態ばかりではなく、本人には自覚がない場合も多くあります。

 

そのため、時に悩んではいるものの、実際に『育児相談』のようなサービスがあっても、利用をすることがない方々が水面下には相当数いる可能性があると言われています。
 



子育てに関する悩みを解決する場

子育て世代は、我が子が成長する過程の中で、様々なこと(身体的/精神的成長について、教育や将来についてなど)を考え、願い、悩みながら一生懸命育てています。

 

そんな中、悩みを解決したい時、SNSをはじめWEB上で調べて自己解決するというケースは多々あるのではないでしょうか。特にSNSは、子育て世代も多く活用しており、匿名且つ顔を出さずに悩みを打ち明けたり、子育てに関する体験をシェアしたりと悩み事の解決やメンタルケアとしての一つの手段となっています。

 

また、様々な自治体が取り組んでいる電話や訪問、直接対面式の育児相談はややハードルが高いため、民間の育児相談アプリやチャット、子育て系サイトや悩み事相談サイト等の中で自分の悩みに近いものを見つけて自己解決している場合もあります。

 

子育て世代は、育児や家事、仕事との両立等時間的にも制約がある場合も多く、隙間時間にその場で気軽に行える方法で自己解決をしているケースが多いようです。
 



産後や育児のサポートに積極的に取り組む自治体や地域

子育て支援は、各自治体が特に力を入れて行なっている取り組みの一つではないでしょうか。

 

そんな中、今回取り上げさせていただくのは、子育て世代へのメンタルケア(産後うつや育児ノイローゼ、子育てに関する悩み)を特に積極的に取り組んでいる二つの自治体です。

 


熊本県

聞きなっせAI くまもとの子育て

< LINE × AI >という、まさに次世代の子育て相談方法です。
LINEの友達登録のみで、24時間365日AIが質問やお悩みに回答してくれるというもの。
質問者個人は特定されず、質問データのみが蓄積され市町村の施策に反映させることができます。

 

こちらでは子育てについての悩みのほか、

 

●  妊娠、出産(不妊治療、妊婦健診、出生届、出産助成金等)

●  病気、予防接種(乳幼児健診、急な発熱や病気の対応や連絡先、夜間及び休日の診療等)

●  手当(児童手当、子どもの医療費助成、未熟児の医療費助成、JRの割引等)

●  保育園、幼稚園(保育料、認定こども園・保育園の空き状況、幼稚園の保育料等)

●  子育て支援(一時保育、病児保育、子育て支援センター、子育てひろば等)

 

についても対応可能。

 

上記の項目内容は、子育てをしている中で何度も調べることがあることばかりではないでしょうか。
実際に検索して、欲しい情報に辿り着くまでに時間が掛かったり、辿り着いても詳細な情報が得られなかったりすることもあります。
ですので、子育て関係の事柄が一つの機能で迅速に得られるのは子育て世代にはありがたいですね。
 


愛知県春日井市

子育て支援の充実と同じくらい「ママ自身の活動やリフレッシュを応援する体制づくり」に意欲的に取り組んでいる春日井市

 

●  ママインターン

●  ママハッピー度調査

●  子育て家庭訪問支援事業

●  妊産婦ケアデイサービス

 

などの取り組みがされています。

 

家庭訪問支援や妊産婦のデイケアサービスは積極的に取り組んでいる他の自治体も多いですよね。

 

この春日井市の取り組みの一つに「働きたいけれど、子どものことが気になる」などの理由で就業を躊躇してしまう母親に向けて『ママインターン』というNPO法人や市内の協力企業と協働して進めている取り組みがあります。

 

一日中子どもと過ごす中で「社会との距離」を感じることも子育て世代の不安感やストレスとして多く聞かれます。一人の人間として「こうしたい」「こう在りたい」けれど、子どもが小さいからと諦める事柄が増えていくと、自分でも気づかないうちに大きなストレスになっていきます。

 

民間の人材紹介サービスや求人等もありますが、自治体が子育て支援の一部として母親の人生やメンタル面の充実を重要なことと捉え、積極的に取り組んでいるとそこで暮らす子育て世代にとっても安心感がありますね。



まとめ

いかがでしたか。今回は、子育て世代が抱える可能性がある悩み事や心の問題について

 

●  主にどのような原因、時期、期間、症状があるのか

●  子育て支援事業の中でも、子育て世代のメンタルケアに注目し積極的に取り組んでいる二つの自治体

 

について取り上げさせていただきました。

 

コロナ禍で育児中に孤独やストレスを感じる子育て世代が増加傾向にあるという今、「子育て世代へのメンタルケア」は子育て支援事業の取り組みとして強く求められているのではないでしょうか。



■関連する記事