2021年05月26日

改めて見直す水害対策。地域でできる取り組みや家庭でできる対策など

私たちが住む日本では、地形的な条件に加え、豪雨が高い頻度で発生する気象条件が重なり、昔から水害に悩まされてきました。
毎年、台風や集中豪雨等による洪水や、河川の氾濫などで住宅や尊い命が奪われています。
命や家屋を水害から守るためには、平時からの備えと水害への対策、避難の際に必要な自治体からの情報発信(住民への情報共有)が不可欠です。
そこで今回は、国や自治体が行っている水害対策をはじめ、家庭できる備えなどについてもご紹介していきます。

 

水害対策の方法や、現状行われている対策

水害による被害を少なくするためには、国や自治体の行政が重要です。
ここでは、国土交通省や地域で行っている水害対策の取り組みをご紹介します。
※参考資料(国土交通省等における水災害対策の取組状況)

河川対策

主な河川対策として、河道整備や洪水調節施設の建設や管理が挙げられ、ダムや遊水地での洪水調節、放水路等で、流量を調節することで水位を低下させる対策を講じています。
河川の氾濫などが予測される際に、洪水の一部をダムに貯め込むことで、下流河川の水位を低下させ、水害を軽減させていることはご存知の方も多いはず。

現在も全国の河川で、洪水を安全に流下させるために、堤防の整備を推進し、洪水のピーク流量を調節できるダムを順次整備しています。
また、河川を管理する多くの施設は高度経済成長期に建設されたもので、老朽化が進んでいるため、長寿命化計画を施設ごとに策定し、長期的視点に立って維持管理・更新の実施を計画しています。

この他にも、堤防の築造、河川の断面積を大きくする河道掘削、樹木伐採等、放水路の建設など、河川の流下能力を高める取り組みを行っています。

流域、地域における対策

河川対策や下水道対策をはじめ、雨水を溜めるための調整池や、浸み込ませるための浸透ますの整備等の流域対策を組み合わせ、地域が一体となって以下の水害対策を推進しています。

・流出抑制対策(盛土抑制・調整、雨水貯留施設等)
・土地利用一体型水防災(宅地嵩上げ、輪中堤等)
・総合内水(排水機湯、河道掘削等)
・高規格堤防(首都圏や近畿圏のゼロメートル地帯に整備)

治水対策が難しい地域(昔からある集落など)では、輪中堤(わじゅうてい)の整備や宅地嵩上げ等の整備と、土地利用規制等の対策を組み合わせ行われることが多いのではないでしょうか。
輪中堤とは、特定の区域を洪水から守るために、区域の周囲を囲むように造られる堤防のこと。
床上浸水被害等を早期に解消するためには、連続堤ではなく、土地の利用状況により、輪中堤を整備することは、家屋浸水対策として効果的です。

内水氾濫による浸水被害のリスクがある河川では、排水機場整備等の対策や、流域における流出抑制等を図る対策を、河川管理者と地方公共団体が連携しながら実施しています。

災害リスクを考慮したまちづくりの取り組み

床上浸水の頻度が高いエリアや、災害リスクを分かりやすく提示し(災害危険区域なども)、災害リスクの低い地域への居住等を進めています。
特に、人命に関わるリスクが非常に高い地域等は、建築物の構造の工夫や住まい方の工夫を促進しています。

以上のように、水害対策として、国や地方自治体は河川改修や治水施設の整備等の取り組みを行っていますが、工事には莫大な費用とともに長い年月が必要です。
そこで重要なのが、行政の取り組みの「公助」だけでなく、地域コミュニティによる取り組みの「共助」との連携。
地域の取り組みとしては、土嚢を積み上げて堤防を補強したり、地域の人たちが協力し合って、近隣の人たちに注意を呼びかけ、避難を誘導したりすることがあります。

地域住民で構成される「水防(消防)団」が活躍している地域も少なくありません。
※水防(消防)団は、大雨や台風等の水害から地域を守るために、住民が団員として水防活動を行う組織です。(一部の地域では消防団が水防活動を行っています。)

 

家庭でも取り組める水害対策や水害対策グッズについて

水害の被害を最小限に抑えるには、個人の取り組みも必要不可欠。
ここでは、街に住む皆さんが、自分自身や家族を守るために家庭でできる水害対策や水害対策グッズを紹介していきます。

水害ハザードマップの活用

「水害ハザードマップ」は自治体が提供する資料で、水害による被害を想定し、浸水範囲・深さなど、被害範囲を地図上に示したものです。
ハザードマップを見れば、自宅や自宅周辺での浸水の危険レベルを知ることができますが、住民の方が常日頃から目にするものではありません。
ですので、新しく転居してくるタイミングや防災無線などを利用し、定期的に水害ハザードマップを確認できる状態にすることが大切です。

土嚢や水嚢の準備

水防ツールとしては、土嚢がよく知られています。
ホームセンターなどで購入できますが、土嚢は土を袋の中に詰める手間が大変で、設置するまではけっこう重労働。
水害が発生しやすい地域では、自治体に連絡すれば自宅に届けてくれるところもあり、地域内に土嚢ステーションを設置しているところもあります。

ごみ袋やレジ袋でも簡単に作れる水嚢は洗濯機・洗面所の排水口、キッチン・トイレ等の逆流防止に役立ちます。
袋の半分位まで水を注ぎ、袋の中に空気が入らないように、袋をきつく縛るだけで完成。(二重にすると破れにくいです)
水嚢は段ボール箱に入れておくと安定し、土嚢のような水防効果も発揮します。

ガラス飛散防止フィルムの貼り付け

大雨・豪雨が発生すると、看板や木の枝等が飛び、窓ガラスが割れることがあります。
割れたガラスが飛び散るのを防ぐために、ガラス飛散防止フィルムを窓ガラスに貼り付けておくと安心です。

車の移動

浸水の恐れがある時は、地下または半地下の駐車場は水没することがあります。
車を置いている場合は、事前に高台に移動しておけるよう、移動場所なども把握しておくことがポイントです。

家族の集合場所や安全確認の方法を決める

家族と離れているときに、突発的な災害が起こると、別々に避難せざるを得ない場合があります。
そのような時を想定して、各家庭で集合場所や安否を確認する方法を決めておきましょう。
通信会社で提供している「災害用伝言サービス」がありますが、万が一の場合に活用できるように、家族で利用方法を確認しておくと安心です。

非常時の持ち出し品の用意

水害時には、ライフラインが止まり、地すべりが起きて道路が分断される場合もありますので、水や食料、医薬品、懐中電灯、カセットコンロ等を用意しましょう。
避難が必要になった場合に備えて、貴重品、非常用食品、衣類等を入れた非常持ち出し袋を用意しておくことをおすすめします。

レインコート    

雨が降る中を避難する際にレインコートは必需品。
雨に濡れると体力が消耗しますので、レインコートで雨から体を守れるように、非常時の備えとして用意をしておくと良いでしょう。

 

水害対策に強い住宅とは?

 

水害から家を守るには、床上浸水を防止することも重要なポイントの一つ。
床下の浸水の場合でも、住宅被害は出ますが、床上まで浸水すると、住宅の壁や建具をはじめ、家具や家電にも被害が及んでしまいます。
ここでは床上浸水に強い建築物の構造についてご紹介します。

かさ上げ(盛り土)

住宅を周囲よりも高くするために、敷地全体に土を盛ります。
特に周囲の土地より低い場所に家を建てる際には、やっておきたい対策です。
ただし、盛り土の重さによっては地盤が沈下する可能性があるので、地盤調査が必要になる場合があります。

高床構造

家の基礎を高くして、家の床面を通常よりも高くすることで、床上までの浸水リスクを減らすことが可能です。
高床構造は、湿気対策としても有効と言えます。

建物防水

住宅等建築物の外壁に耐水性のある建材を使い、防水性の高い外壁塗装にすると、浸水を防ぎやすいです。
再塗装等のメンテナンスをすることで、建物の寿命も延ばせるでしょう。

家を新しく建築する際、キッチンやリビングを2階に作ると、1階が床上浸水した場合でも水まわりが2階にあるので、差し当たりの生活に支障が出ないことも多いようです。
また、太陽光発電があれば、水害で停電している間も電気が使えるので、水害対策にも有効です。

 

各地域の水害対策マニュアルについて

この記事を読まれている自治体関係者の方の中には、内閣府(防災担当)の水害対策マニュアルをご覧になったことがある方も多いのではないでしょうか?

この水害対策マニュアルでは、平成27年9月に発生した関東・東北豪雨による水害の課題も踏まえ、災害時に市町村が実施すべき水害対応をフェーズ別に示しています。
災害対応体制の確保、情報の収集・発信、避難対策、避難所等での生活環境の確保等、初動の災害対応から生活再建支援に至るまで9つのポイントに絞って掲載しているのですが、被災の教訓を踏まえ、実施すべき水害対策や取り組みの方向性を示すと共に、先行自治体の優良事例も紹介する等、市町村の防災担当者が活用できるような内容になっています。

また、この手引きで示しているポイントは、水害に限らず地震等の災害に対しても有効ですので、各自治体の担当者様は、自分たちの地域の水害対策や災害対応マニュアルの見直しをする際に、本マニュアルの内容が参考になるかと思います。

 

まとめ

テレビの気象ニュースを見ると、気象予報士等が「経験したことのないような大雨」と伝えることが多くなってきました。
日本に住んでいる限り、全国のどこの地域も水害の可能性があります。
特に、自分たちの地域で川や低地の面積が多い場合には、過去の浸水状況などを把握し、避難所や水害対策について住民の方々に周知の徹底ができると、万が一の際に被害を最小限に留められるかもしれません。

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