グリーンスローモビリティとは?高齢者やラストワンマイルの移動手段となるか?

環境問題への取り組みのニーズが高まる中、グリーンスローモビリティという言葉を耳にする機会が増えつつあるようです。

 

国土交通省や環境省など、国の機関が導入を支援しているグリーンスローモビリティですが、具体的にはどのような事業が補助の対象になっているのでしょうか。

 

そこでこの記事では、グリーンスローモビリティとは一体何なのかを説明し、さらに、地域での活躍の様子や取り組み事例なども紹介します。



グリーンスローモビリティとは何か?徹底解説!

グリーンスローモビリティとは、電気をエネルギー源として時速20キロ未満で公道を走ることができる4人乗り以上のパブリックモビリティ(乗り物)のこと。

 

車両のサイズに応じて、軽自動車、小型自動車、普通自動車のような種別に分かれていて、4人乗りのゴルフカートタイプから16人乗りの電動低速バスなど、様々なタイプがあります。福祉車両用のグリーンスローモビリティも製造されていて、車椅子リフター可のタイプもあります。

 

いずれのタイプも1回の充電で30キロ以上の道のりを走行することが可能で、充電に必要な時間はゴルフカートタイプで約5時間、電動低速バスタイプでは約9時間くらいが目安となるようです。

 

グリーンスローモビリティの特徴は、Green、Slow、Safety、Small、そしてOpenの5つの単語を用いて表現されています。

「Green」は電気自動車ということで、環境へのやさしさを表現しています。もし、充電に使用する電気に再生可能エネルギーを活用すれば、CO2フリーの乗り物にもなり得ますね。

 

「Slow」と「Safety」は、時速20キロ未満に設定されている速度で、高齢者でも運転しやすい乗り物だといえます。ゆっくり走るため景色や街並みをゆったり楽しめ、観光用にもぴったり。交通量の多い幹線道路を走行させたい場合でも、後続車に道を譲るための退避スペースなどがあるコースを選べばスムーズに利用できるでしょう。

 

「Small」はもちろんサイズのこと。グリーンスローモビリティは、乗車定員が同じ他のモビリティのおよそ8割の大きさで作られている為、コンパクトで小回りが利きます。

 

「Open」は窓ガラスがないゆえの解放感に由来しています。とはいえ、天気の悪い日には透明なシートを下げることも可能なので、多少の雨や風でも安心です。寒い季節には透明シートに加え、ひざ掛けを使用することで快適さを保ちます。

 

また、ゴルフカートタイプでは前後の座席の間に仕切りがありません。車内では乗客同士の会話も弾みそうなオープンな構造です。
 



環境省や国土交通省が支援!その理由は?

環境省や国土交通省がグリーンスローモビリティを支援している理由は、グリーンスローモビリティが環境だけではなく、社会や経済の向上にも結び付いているからです。

 

グリーンスローモビリティは電気自動車なので、走行中には二酸化炭素(CO2)を排出しません。電力発電所は発電の過程でCO2を出すことも事実ですが、それでもグリーンスローモビリティの活用は省CO2につながります。つまり、環境省が推進する低炭素社会を目指す取り組みの一環なのです。

 

高齢化が進む社会では、年齢を理由に運転免許を返納する高齢者が増えることが予想されますが、グリーンスローモビリティは、そのような高齢者の移動手段として活用できそうです。若いドライバーが不足する地域でも、低速で走るグリーンスローモビリティであれば高齢者がドライバーになることもできるでしょう。

 

また、コンパクトなグリーンスローモビリティは、これまでバスが走れなかったような道路でも走行可能です。家庭用のコンセントで充電できるので、ガソリンスタンドが少ないエリアやガソリン価格が高い離島などでの活躍も期待できます。

 

その他にも、福祉の分野に役立てることもできます。高齢者の移動手段が確保できれば、高齢化が進んだ地域コミュニティの活性化にもつながるのではないでしょうか。

 

グリーンスローモビリティは、このように社会が抱えるさまざまな問題へのアプローチが可能になります。

 

さらに、グリーンスローモビリティは有償での運行も可能です。スロー走行なので観光客向けのモビリティにも適していて、ガイドがドライバーになって旅行客を案内できます。

 

お客様のニーズに合わせた個別の観光案内の他、プチ定期観光バスのような使い方も可能です。パークアンドライドのライドや、駐車場から施設までの移動、今まであった交通機関を補完するための新しい輸送手段として、ラストワンマイルへの活用も期待できそうです。
 


【出展社・来場者募集中!】
全国から自治体関係者が来場する日本最大の展示会

【出展社・来場者募集中!】
全国から自治体関係者が来場する
日本最大の展示会



採択された事例は?グリーンスローモビリティ促進事業

グリーンスローモビリティの導入促進や実証調査支援などのため、地方自治体を対象に公募が行われています。

 

ここでは環境省の「IoT技術等を活用したグリーンスローモビリティの効果的導入実証事業」の公募を例として取り上げ、選定された地域と事業のいくつかを事例として紹介しています。

 

まずは福島県いわき市のケースです。事業名は「フラシティビークルを活用した【スマート交通】推進プロジェクト」で、事業目的は来訪者や住民等の交通利便性向上、中心市街地の活性化、高齢者等の移動手段の確保の3つです。

 

運行形態はデマンド型(予約制)とし、23カ所の乗降ポイントを設置。乗車予約や運行状況の確認はスマホアプリを利用し、乗降ポイント間を予約に応じてタクシーのように運行します。グリーンスローモビリティをトイボ(toy box)とネーミングし、無償、及び、有償で4カ月間行われた実証実験です。

 

次は、大阪府河内長野市の「開発団地におけるグリーンスローモビリティを活用したQOL(生活の質)向上モデル事業」です。これは、河内長野市が着手する団地再生モデル事業のうちのひとつとして行われています。

 

事業実施期間は2019~2021年度で、まずは手動運転でグリーンスローモビリティを走行させてニーズの検証をし、その後、一部ルートを自動化するプランです。グリーンスローモビリティに乗る楽しさと移動手段としての便利さ、そして自動運転を実際に体験できる楽しみ、ひいては地域住民の生活の質を高めることを目的としています。

 

最後は島根県太田市にある見銀山大森地区の事例です。事業名は「世界遺産石見銀山大森地区におけるGSMを中心とした地域内交通整備事業」で、既に2017年度と2018年度に実験が実施され、2019年11月以降からは長期の実証運行を開始する予定です。

 

石見銀山遺跡は世界遺産に登録時に来訪客がたくさん訪れたため、交通問題に発展しました。地域内は道幅が狭く、路線バスも廃止されたのです。観光客のための交通の利便性と、市民の生活環境の維持を両立させるため、条件を満たすグリーンスローモビリティの導入に向けた実験の実施に至ったのです。そこで、長期歩行が困難な人と介助者を対象に運行社会実験をおこない、導入の受容性を調査しています。
 



活躍するグリーンスローモビリティ!

いくつかの地域では、グリーンスローモビリティは既に事業化され活躍しています。

 

例えば、広島県福山市の鞆地区ではタクシー事業として2019年4月より走行中です。車両はゴルフカートタイプで、通常のタクシーと同様に初乗り630円で利用されています。

 

大分県姫島村では、やはりゴルフカートタイプがレンタカー事業に活用されており、料金は4人乗り1時間2500円です。

 

東京都豊島区ではデザイナーが手がけたバスタイプのグリーンスローモビリティが、路線定期運航のバスとして回遊しています。運行地域は池袋駅周辺で、西口公園や防災公園など4カ所の公園や主要施設を結ぶルートで2019年11月からのスタートです。運賃は1回の乗車の場合、大人200円子ども100円で、車両後部には車いすの昇降機も付いています。

 

また、東京都町田市ではゴルフカートタイプが自家用有償旅客運送事業に利用されています。鶴川2、5、6丁目団地と鶴川団地センター名店街との間を運行しており、団地に住んでいる高齢者が対象です。登録制になっていて、年間利用料は500円です。
 




アイデアで広がる!グリーンスローモビリティの活躍

地球環境にやさしいだけではなく、高齢化が進む社会問題にも対応するグリーンスローモビリティ。

 

それ以外にも、地域の住民の足としての役割を果たす他、観光客向けのサービスや少量の貨物の運搬、さらには、エリアのブランディングとしても活用されています。

 

今よりもグリーンスローモビリティの導入が進み、多くの場で活用されるうちに、想像もつかなかったような利用方法も飛び出すのではないでしょうか。



■関連する記事