地方創生に取り組んだ自治体の成功事例

地方創生の取り組みにおいて、国は「官民連携」を推進しています。官民連携により、民間がもつ良さを活かした地域づくりが実施できる可能性が高まります。

 

しかし、実際には「どのように連携して地方創生を進めて行けば良いのか」のイメージがつかみにくく、なかなか行動に移せない自治体も多いのが実情です。そのような中で、他自治体の取組内容を把握することで、何らかのヒントが得られるのではないでしょうか。

 

そこで本記事では官民連携により地方創生に取り組んだ先進事例3例を中心にご紹介します。あわせて民間企業と農業に関する地方創生事例2例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。


▶監修・解説:北川哲也氏
補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表 北川哲也氏。
2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。
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【公認】地方創生の取り組み成功事例3選【官民連携】

地方創生を成功に導く1つの鍵は「官民連携」にあります。国は民間のもつ独自で多様なノウハウを活用し、予算を効果的に活用するために、官民を連携させ横断的に地方創生を進めています。

 

これからご紹介していく取り組み3事例は、官民連携を進めたことで地方創生につながった成功事例です。また、山口県長門市に関しては、実際に当時の担当者へインタビューした内容をまとめていますので、管轄地域における新たな政策立案にお役立てください。

 

【インタビュー】稼げる観光まちづくりの推進|山口県長門市

今回のインタビューでは、山口県長門市・元観光政策課の松岡氏に、長門湯本温泉で進む「公民連携」による観光まちづくりについてお伺いをさせていただきました。

 

公民連携に至った背景や課題解決に向けた取組内容、そして誘致における成功の秘訣を中心に紹介します。
 

□長門市と民間企業の協働の背景や課題の捉え方

【編集部】

なぜ星野リゾートと協働することになったのか、課題解決のために両者はどのようなことから着手していったのかについて教えてください。

 

【松岡氏】

元々、地上8階、地下2階の市内でも最大規模クラスの旅館が26年の1月末に廃業してしまったんですね。廃業後に地元の要望もあって建物を活かして引き続き旅館をやるとか、中身を入れ替えて何か別のことをやるとか検討もしたんですけど、箱が大きくて古い分、建物をうまく活かして何か事業をするのは難しいという結論に至りました。

それをもとに、一施設ではあるんですけど長門市そのものが観光地としても売り出しているということもあって、山陽側からアクセスするメインの国道316っていう大きい道路があるんですけど、長門市に隣の街から入ってきてすぐのところなんですね。長門湯本温泉っていうのが。

かつ、メインの道路沿いに廃業した旅館もあって、そこに大きい建物が真っ暗で営業していないっていうことになると長門市全体のイメージの悪化にもなってしまうので、建物が使えないなら一旦更地にしてリスタートしようということを当時の組長が決断して、工事によって解体し土地を市が取得する流れになりました。

その後、大きい旅館以外にも同じホテルが温泉街の中に不動産を所有していて合計3箇所あったんですね。3箇所とも建物が立っていたので、もれなく解体し、更地にしたんですよ。そうすることで温泉街の中に3箇所、遊休地ができてしまったんですね。

温泉街をもう一度、観光地として再生させようという思いで当時の組長が国内でもトップランナーである星野リゾートを誘致しようとアプローチしました。

なぜ星野リゾートだったかというとシンプルで、2番でなくて1番の人を呼ぼうと。それを起爆剤にして温泉街をよくしていこうということで声をかけて、なんとか旅館進出してほしいと話を進めたのが一つですね。

さらに星野さんと進出の打診をする中で、当時の市長に跡地だけ開発したところで温泉街はよくならない、面的に再生しない限り温泉街としての復活はあり得ないという話になって、温泉地の再生に一緒に携わってほしい、協力してもらえないかということを相談したところ、やってみようという話になって一つは旅館の進出を決めていただいたということと、もう一つは温泉街の再生ということで3箇所以外の土地も含めて再生していこうということになりました。

 

□【インタビュー】稼げる観光まちづくりの推進|山口県長門市

【編集部】

数ある中で星野リゾートに長門市を選んでもらうのはかなり難しかったと思いますが、誘致成功の秘訣は何だったと思いますか。

 

【松岡氏】

包み隠さずメディアにはお答えしていて、市長の熱意しかないんですよね。ただ1つ条件があったかなと思っていて、聞いたことはないですけど本人の口から出てるような言葉でいうと、1つは星野さんのビジネスモデルでいうと、それまでは再生ビジネスだったんですよね。

廃業している旅館を買い取って、自らプロデュースして出していく再生モデルだったんですけど、それはあくまで一施設の話だったんですね。

星野さん自身は、日本全国良い温泉街とか良い温泉地っていうのはあるんだけれども、やっぱりどこか残念な箇所があると。ここをよくすればもっとよくなるのにっていう思いはあるし、プロデュースもできることならしたいと。

なんで長門湯本でご決断いただいたかと言うと、エリアも比較的小さいということもあるんですけど、合意形成を図る上で長門市さえ「うん」と言えば、物事が進んじゃうと。他の温泉街だと利害関係者がめちゃくちゃいるわけですよね。

長門市の場合は、広大な敷地の所有者が長門市一人なんですよね。河川にしたって県だし。要は行政が「うん」って言えば物事が進むんですよ。だけど通常はそうじゃないんで街づくりって進まないんですね。だから、長門市の場合ではやりたがっていた温泉地のプロデュースの実現の可能性が高いんじゃないかと思った、とご本人がおっしゃったんですよ。

なので、視察の時に「どうやったら星野さん心動かせるんですかね?」と聞かれたら、市が土地を取得しまくって、合意形成の相手を減らすっていうのは一つ具体的な施策じゃないかなと。無理を承知ですけど、長門の場合はそうだったからできたんじゃないかなと思っています。

 

□観光客や住民からの反応

【編集部】

星野リゾートを誘致したことによる観光客や住民からの反応はいかがですか。

 

【松岡氏】

定量的には把握できないんですけど、メディアの露出による効果は相当なものですね。

公衆浴場の再開発もセットでやったんですけど今や海外のメディアをはじめ、色々なメディアに取り上げてもらっていますし、星野さんが関わっている街づくりという観点で全国区のテレビ番組だったり、雑誌やWebだったり、いろんなメディアから取材があって、露出という意味では皆増ですね。それが継続している状況です。

 

□取組みの運営体制

【編集部】

現在取り組みをされている中での運営体制について教えてください。

 

【松岡氏】

再開発そのものに一旦は区切りをつけたんですね。28年から本格的にスタートをしていて、令和2年度に完成させたんですけど、これまではプロジェクトをやるためのチームを役所の中で作成して、今はそのチーム自体は解散しています。

令和3年度からは、観光政策課で一業務として街づくりのその後の運用支援を進めています。当時は、役所の人だけで6〜7人くらいですかね。ただマネジメントするのがそれくらいで、道路とかいろんな部署が関係してくるのでそれを含めるとわからないんですけど。一大プロジェクトという位置付けで進めていましたね。

 


商店街連携の「美のまちづくり」|福井県福井市

福井県福井市では5つの商店街が連携し、駅前空き店舗を活用した「美のまちづくり」の取り組みが実施されました。福井市の駅前に空き店舗が増加した背景の1つには、郊外型大型店の進出があります。官民協働のもと、駅前5つの商店街が手を取り合い、平成12年に「福井駅前五商店街連合活性化協議会(五連協議会)」が発足します。

 

「美しくなれるまち」をテーマに駅前の空き店舗を活用し、平成27年に美容関連のお店11店舗が一斉オープン。広告効果によるコストの抑制やイベントの開催などが功を成し、まちのにぎわいの再生へとつながりました。

 

福井市における官民協働は「地域の基盤整備から魅力の向上につながるソフト・ハード事業」に力を入れたことが特徴に挙げられます。主に力が注がれた取り組みは下記4つの柱です。

1.5つの商店街の連携体制の構築

2.福井駅西口再開発

3.「美のまちプロジェクト」による空き店舗への出店促進

4.テーマを統一した共同促販組織「EKIMAE MALL」の設立

引用元:【福井県福井市】商店街が連携した共同販促体制の構築によるにぎわい再生

これら4つの柱では「空き店舗の活用や開業の支援」や「出店の促進や地元ショッピングモールの連携・EKIMAE MALLの設立」など、官民協働の役割が明確です。具体的な内容は下記のとおりです。

地域の地盤整備・魅力向上につながるソフト・ハード事業の主な特徴

・五連協議会が主体となった商店街エリアの魅力向上を目的としたイベント共同開催

・令和6年の北陸新幹線開業を見据えた駅前に併設された再開発ビルの整備

・「美のまちプロジェクト」の空き店舗の活用と、美容関連のお店を一斉オープン。第三セクター・まちづくり福井株式会社の空き家
  活用支援の実施

・「美のまちプロジェクト」リーダーが中心となり、地元百貨店と連携した地域共同促販組織「EKIMAE MALL」の設立

福井駅西口再開発では、令和6年春の北陸新幹線開業に向けて、JR福井駅前から商店街のにぎわいを強化したい思いがあります。また「美のまちプロジェクト」などの実施により、商店店主たちの意識が変わり、地元百貨店と連携した地域共同促販組織「EKIMAE MALL」が出来上がりました。

 

こうした取組の結果、平成27年から平成31年年の創業者数は400件になり、福井駅西口再開発施設「ハピリン」への来場者数は40万人を記録しました。この結果より、KPI値にも地域魅力の向上がうかがえます。

 

福井市の取り組み事例が成功したポイントは、まち全体がにぎわう仕組みの官民連携と、「美のまちプロジェクト」でテーマを統一したことにより、共同促販による店主たちの意識改革が行われた点にあります。

 

駅前空き家店舗をどうしたらいいのか、危機的状況に陥りながらも模索し、そのピンチをチャンスに変えたのが官民協働でした。福井市の事例は、官民協働から地域の地盤整備と駅前再開発が進み、地元住民である商店街が連携し、成功につながった好事例です。

 


リノベーションまちづくり|福岡県北九州市

写真参照:北九州家守舎

福岡県北九州市では民間自立型のまちづくりを推進するため、「リノベーションまちづくり」が実施されました。民間自立型のまちづくりの推進とは、空き店舗や空きビルを活用したリノベーションによる「まちの再生」など、政府の支援を活用した官民協働の取り組みです。

 

北九州市は、平成23年4月に国土交通省が実施している「民間まちづくり活動促進・普及啓発事業」に応募し、支援を受けています。国土交通省が実施する本事業は、「稼ぎ続けるまちづくりのノウハウの習得」と「資金の援助」が得られます。具体的な内容は下記のとおりです。

先進団体が持つ継続的なまちづくり活動のノウハウなどを他団体に水平展開する普及啓発事業

ⅰ)都市の課題解決をテーマとし、多様なまちづくり関係者を巻き込んだワーク ショップを開催するなど、まちづくりの現場における現実の課題解決に向けた 継続性のある活動を実践する人材の育成を図る仕組みの構築・運営

 ⅱ)ⅰ)と連携しつつ、優れたまちづくり活動の普及啓発


【定額補助】都市再生推進法人、景観協議会、市町村都市再生協議会、地方公共団体、 大学又は民間事業者等(これらを構成員とするJVも含む。)

北九州市は、政府からの補助金を「リノベーションスクール」開催時のみに活用し、その他は民間資金と割り当てを明確にしました。行政からの支援金は、相談窓口のワンストップ化、地域PRの支援などに活用しました。

 

北九州市は支援を受けた資金を活用して「リノベーションスクールの開催」と「まちづくりを担う人材の育成」に力を入れた結果、まちの再生に必要な雇用の重要性に気づきます。そこから、まちのにぎわいづくりを目的とした積極的な雇用創出と、交流の場の提供をしました。

 

こうした雇用の循環と場の提供とが合わさったことで、「リノベーションまちづくり」が構築されていきました。

 

平成28年4月時点では、リノベーションスクールを11回開催し、19の物件が復活しています。その結果、445人もの雇用が生まれました。こうした雇用創出の背景にあったのは、小倉地区の1日あたりの歩行者の増加も関係しています。平成22年から平成26年の4年間で、1日あたりの歩行者の数が3,000人が増加しました。

 

北九州市のリノベーションを活用した「まち再生」は、資金面の支援と雇用の循環がまちのにぎわいにつながり成功した事例です。

 

□【インタビュー】福岡県北九州市の取組みインタビュー

北九州市役所職員である熊丸氏と溝正氏に、北九州市が力を入れて取り組んでいる「リノベーションまちづくり」についてインタビューをさせていただきました。

 

本事業に取り組むに至ったきっかけや経緯、また市民の反応と初期段階の苦労話など幅広く紹介します。ぜひ事例を参考に管轄地域の新たな施策立案にお役立てください。

■「リノベーションまちづくり」取組みの経緯やきっかけ

【編集部】

事前調査で「リノベーションまちづくり」に力を入れていることを拝見させていただきましたが、まず取組経緯やきっかけを教えていただけますか。

 

【熊丸氏】

きっかけとなったのは、リーマンショックです。リーマンショックが起こり、市内の空きビルがかなり増えました。その理由はですね、北九州市は福岡県にあるんですが、近くに県庁所在地の福岡市という大きな市がございます。

北九州市と福岡市にそれぞれ支店があったんですが、リーマンショックで企業の動きとして支社を統合するということで、市内の空きオフィスが増えたという経緯がありました。

今までであれば、企業を誘致して空きオフィスを埋めようという動きだったんですが、この状態では誘致しても(企業は)来ないというところで、何か新たな取り組みが必要となり、北九州市や商工会議所、町の団体などでどうしていこうかと考えたのがきっかけです。
 

■ 具体的な施策

【編集部】

リノベーションまちづくりの取り組みにあたって、具体的な施策の内容や連携などについて詳しく教えていただけますか。

 

【熊丸氏】

当時、北九州市や商工会議所、まちづくり団体とで研究会を立ち上げまして対策を考えていったところですが、そこでゲストスピーカーとして東京の清水さん(清水義次氏)から色々とお話を聞き、その中で「家守方式」というお話がございまして、当時の研究会メンバーはそれでいこうと至って「家守化構想検討委員会」を立ち上げ、リノベーションまちづくりをやっていく流れになりました。

「家守化構想」の「家守」というのは、江戸時代の長屋とかをお世話する方なんですが、そういった方が町のお世話役として色々つないでいくというか、困ったことを解決していくという方々なんですね。

そういった方々が必要じゃないかということで、行政とかではなく、民間など含めた町の誰かがお世話していくというまちづくりの体制を作っていこうという取り組みです。

現在小倉(北九州市の都心)と黒崎(北九州市の副都心)でリノベーションまちづくりを推進されていると思いますが、2つの拠点に何か課題があって推進されているのか、またどのようなところから始められたのかをヒアリングできたらと思います。北九州の1番の都市である小倉の方でかなり空きオフィスが増えたというところで、まず「小倉の家守構想」として取り組んできました。「すぐに始める、スモールエリアで始める」、そういったキーワードで進めていきました。

そこでやろうとなったのが、今全国展開しているリノベーションスクールです。そのために、物件とかプレイヤーを探して地域の活性化、あとエリア価値の向上に努めていこうというところから取り組んでいってですね、10年くらい小倉でやっていたのが当初の形になります。そこが、徐々に徐々に良い形になり結果が出たので、他の区に展開していきました。

先ほど黒崎とおっしゃっていましたが、黒崎以外にも門司とか戸畑(とばた)とか若松だとか、そういったところでも色々と展開はしているところですが、中心部が小倉で副都心が黒崎なので、特にリノベーションスクールは今、小倉と黒崎の2箇所でやっておりますが、実際リノベーションの取り組みについては他のところでもやっている状況です。

小倉については、かなり成功したといわれておりまして、かなりエリア価値の向上はできて外部資本が入ってですね、空き店舗や更地ができたらすぐに売れて新しいビルが建つだとかという状況でしたので、リノベーションの余地がなく次の段階にきていると認識しています。

今は黒崎に力を入れているところですが、その経緯というのも、大型商業施設が潰れてしまってかなりにぎわいが喪失しているというところで、ちょっと元気にしたいとの思いで、色々黒崎に特化した事業をやっています。その1つとして、「黒崎のリノベーション」という形で取り組んでいる状況です。
 

■ 取り組みに対する市民の反応

【編集部】

様々な取り組みをされているとお聞きしましたが、その効果や取り組みに対する市民の反応はどんなものでしょうか?

 

【熊丸氏】

「リノベーションまちづくり」が市民に浸透しているかといったら、そこまで浸透していないように感じます。ただ、オシャレな店が増えて、特に小倉とかであれば大きなビルを小さく分けてチャレンジショップ的な形でしているところが増えて、にぎわいが出てきたなくらいの認識だと思います。

あと、コワーキングスペースとかも色々できておりますし、みんなが集まって色々考えられるような場所もできておりますので、リノベーションまちづくりに対しての反応はないとの認識ですが、魅力的な店ができることによって人通りも増えていって、さらに新たな店が出てくるといった良い循環ができていたのかなと思っています。


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地方創生の取り組み好事例

上記で紹介した3事例以外にも、日本では企業を中心とした地方創生の取り組みも行われています。ここでは民間企業と農業に関係する地方創生の取り組み事例を2つご紹介します。

 


民間企業主導の街づくり|ヤマガタデザイン株式会社

地方創生大臣賞に選ばれた地方創生の取り組み好事例は、革新的な発想をした街づくりを行う「ヤマガタデザイン株式会社」です。同社は山形県庄内地方で民間主導の街づくりに取り組んでおり、その取り組み事例が評価され地方創生大臣賞に選ばれました。

 


◆地方創生大臣賞とは
地方創生大臣賞とは、2015年に作られた革新的で優れたサービスを表彰する制度「日本サービス大賞」の表彰大賞の一つ。未来の日本の創生に貢献できるサービスや、価値提供をした団体に送られる賞。



同社は「地域課題を解決する事業をデザインし、次世代がときめく地域社会の提案」をモットーに、固定概念にとらわれない革新的な発想で民間主導の街づくり事業を展開していきました。

地方創生の目標である「地方とのつながりと人の流れ」を創り、他に類を見ない新しい時代の流れを築き上げ成功へと導きます。同社の評価項目は下記3つがあります。

 


地方創生大臣賞「ヤマガタデザイン株式会社」の評価項目

ⅰ)何もない田んぼに価値を見出し、田んぼの中にあるホテル「スイデンテラス」を創る。山形庄内にわざわざ訪れる場所は、訪れる人々の心を魅了し、ここでしか味わえない宿泊体験を提供した。


ⅱ)信頼で得た地域からの資金と人材を、4つのカテゴリーと8つの街づくり事業に投資。事業の成功と雇用創出、定住者を増やすなどステークホルダーと共に地域課題の解決を加速化した。



ⅲ)地域資源の魅力を最大限に活用した取り組みは、全国の共通課題(人口減少、高齢化、経済・社会の持続性の低下)を抱える地方都市にとっての参考になるモデルである。



同社は一見何もないと捉えがちな山形県庄内市の田んぼの真ん中にホテルを創り、そこでしか味わえない価値を提供しています。訪れる人々の心を魅了し「また訪れたい」と思える場所に変わりました。

この革新的な発想が、地域の魅力を最大限に引き出し、全国共通の地域課題でもある人口減少や経済など持続性の低下を見事に払拭して人の流れを創ったのです。


環境保全型スマート農業|秋田県にかほ市

秋田県にかほ市では、2025年を目処に自動抑草ロボットを用いた「環境保全型スマート農業」の構築を目指しています。

 

「環境保全型スマート農業」の構築が達成されるために、5者が連携した協働的取り組みが導入されています。

【5者の連携先】

・株式会社権右衛門(秋田県にかほ市)

・TDK 株式会社(東京都中央区)

・井関農機株式会社(東京都荒川区)

・有機米デザイン株式会社(東京都小金井市)

・にかほ市(秋田県にかほ市)

 

農業分野で全国の地方都市は、農業人材の育成やの食の安全の保障といった共通の課題があります。

 

こうした全国の地域課題を解決した先には、地域を活性化させ、持続可能な農業の実施が必要です。そのモデルとなる取り組みが秋田県にかほ市の「環境保全型スマート農業」です。5者で連携を図って行われる本プロジェクトの連携内容と各者の役割は以下のとおりです。

【連携内容】

にかほ市において環境保全型スマート農業の技術を活用した栽培の省力化及び生産性の向上を実践し、環境負荷の低い稲作工程のモデルを確立する。

引用元:「環境保全型スマート農業」の構築に向け にかほ市で5者連携協定


【各社の役割】

株式会社権右衛門
ほ場における抑草ロボット及び環境保全型スマート農業機器の検証並びに実ほ場の展開


TDK 株式会社
環境保全型スマート農業技術を活用した環境負荷の低い稲作工程の確立


井関農機株式会社
環境保全型スマート農業機器及び関連技術の提案


有機米デザイン株式会社
抑草ロボットの開発及び提供


にかほ市
にかほ市での環境保全型スマート農業の推進

にかほ市の取り組みは、少子高齢化や人口減少などの地域課題に向かいながら今後の農業を継承させていく先行事例として、今後も注目されていくでしょう。



まとめ

本記事では、官民連携した地方創生の成功取り組み事例や、民間企業や農業にまつわる地方創生好事例をご紹介しました。

 

地方創生を成功させるには、成功事例より以下5つのポイントが重要であることが分かります。
 

1.官と民とのそれぞれの役割の明確化

2.魅力ある地域づくりをするための目標の共有

3.政府の支援の活用

4.地域の魅力の本質を見抜く革新的発想

5.民間の持つ多様な技術やノウハウとの掛け合わせ

 

官民連携で行われた地方創生では、官民がそれぞれの役割を果たしたことで、地域の課題解決と魅力溢れるまちづくりへとつながっていきました。ぜひ今回紹介した地方創生の取り組み事例を参考に、地域課題の深掘りや、新たな政策立案につなげてみてはいかがでしょうか。


▶監修・解説:北川哲也氏

補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表 北川哲也氏。

2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。2018年春に株式会社Link-Upを立ち上げ、士業サービスでカバーしきれないコンサルティングや顧問サービスをスタート。公益社団法人茅ヶ崎青年会議所の2021年度理事長や認定NPO法人NPOサポートちがさき参画など活動多数。



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