日本版ライドシェアのメリットや問題点!自治体の取り組み事例も紹介

2024年4月から「日本版ライドシェア」が解禁され、新たな移動手段となりえるかが注目を集めています。

 

ライドシェアには、本格的な運用開始に伴い問題点や課題が残っているものの、都市部や観光地でのタクシー不足を解消するだけでなく、地域での交通弱者にとっても有益となるサービスとなることも期待されています。

 

本記事では、ライドシェアの概要やライドシェア導入のメリットと問題点、導入事例などを紹介します。

 


▶監修・解説:北川哲也氏
補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表 北川哲也氏。
2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。
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ライドシェアとは

ライドシェアとは、一般ドライバーが自家用車を活用して、他の利用者と座席をシェアしながら運送する相乗りサービスのことです。

 

このサービスはスマートフォンのアプリを介して、リアルタイムで一般ドライバーと利用者をマッチングすることが可能で、2024年4月から日本の一部地域を対象に日本型ライドシェアが解禁されました。

 

日本型ライドシェアでは、タクシー会社の管理のもと、一般ドライバーが自家用車を利用して有料で乗客を送迎することを可能にしました。

 

利用者は、タクシーに比べて低料金で移動が可能となり、一般ドライバーは自家用車を有効活用することでその維持費などを抑えられます。特に、タクシーが不足している地域や交通手段が限られる地方部でも新たな移動の選択肢として注目されています。

 


カーシェアリングとの違い

カーシェアリングとは、「車の貸し出し」が目的となり、車を所有する一般ドライバーと車を利用したい利用者とをマッチングさせるサービスです。カーシェアリングでは、車を所有していない人が、必要な時に車を借りられます。

 

カーシェアリングは、自分で車を所有する必要がなく、使いたい時に必要な期間だけ車を借りることができるため、経済的なコストが抑えられるほか、利便性の高さが大きなメリットです。

 

一方、ライドシェアは一般の人が自家用車の座席をシェアし、相乗りを提供するサービスです。ライドシェアは「車を持つ人」と「車で移動したい人」とをつなぎ、双方がメリットを得られます。

 

カーシェアリングとライドシェアのサービスは、それぞれに特徴があり、利用者がニーズに応じて選ぶことができます。

 


タクシーとの違い

ライドシェアは自家用車を活用した相乗りサービスであり、タクシーサービスとはいくつかの点で異なります。

 

大きな違いとして、タクシーサービスでは国からの営業許可を得て緑色のナンバープレートを使用しているのに対し、ライドシェアでは緑のナンバーではない自家用車を使用することです。

 

つまり、タクシーサービスは法律に基づき、厳格な規制のもとで運行されます。これらの法律には運転手の資格や車両の安全基準、料金体系などが含まれ、公共交通機関として運用されています。

 

一方、ライドシェアはプラットフォームを通じて私的な車両が乗客とマッチングされるシステムです。タクシーサービスと比較して柔軟性がありますが、同時に一般ドライバーによる運行の安全性やサービスの質に関する懸念も指摘されています。

 

ただし、ライドシェアではタクシー営業に必要な許可を受けずに自家用車で営業している違法タクシー(白タク)と区別されています。白タクは、許可なく運送業を行うもので、法律によって禁止されています。ライドシェアは適法に設定されたルールのもとで運行されるため、運転時の安全対策やライドシェアドライバーとして認証が求められます。

 


禁止されていたライドシェアが限定解禁された背景

2024年4月、ライドシェアが日本で限定的に解禁された背景には、複数の社会経済的要因があります。

 

まず、新型コロナウイルス感染症の感染拡大によるタクシードライバーの大量退職が挙げられます。タクシー業界では、コロナ禍をきっかけに深刻な人手不足に陥りました。

 

そのため、コロナ禍から回復するにつれてタクシー利用者が増加していますが、人手不足が解消されず需要と供給のバランスが偏った状態となっています。

 

さらに、海外からの訪日外国人数の増加が、タクシーの台数不足を悪化させています。特に、国内でのインバウンド市場の回復により、特定の時間帯や場所でのスポット利用できるタクシーの台数不足が顕著です。そのため、利用者にとって大きな不便をもたらしています。

 

このような背景からライドシェアの一部限定解禁は、タクシーの台数不足を一般ドライバーが補い、より柔軟な移動手段を提供するための緊急措置として導入されました。

 

この新しい移動サービスの動きは、人口が多い都市部や観光地での交通問題の一時的な解決策として注目されています。

 


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日本型ライドシェアは2タイプある

2024年4月から解禁された日本版ライドシェアでは、諸外国の一般的なライドシェアと比べて大きく異なるサービス導入が行われています。この制度は、主に2つのタイプに分けられます。

 

1つ目は、「自家用車活用事業」と呼ばれ、主にタクシー会社がライドシェアの運営を行い、通常のタクシーサービスでは対応しきれない需要を補うために一般ドライバーの車を活用します。

 

2つ目は、「自家用有償旅客運送制度」と呼ばれ、主に自治体やNPOが運営を行い、公共交通機関が不足している地方や過疎地での移動手段に利用されます。

 

タイプが異なる日本型ライドシェアの導入により、移動手段が限られている地域のアクセシビリティ向上や、観光地での繁忙期におけるタクシーの台数不足の解決が期待されています。
 



自家用車活用事業

一般的に、日本版ライドシェアというと多くの場合「自家用車活用事業」を指します。このシステムでは、タクシー事業者が運送の主体となり、タクシーサービスだけではカバーできない利用者のニーズに対応するために、一般ドライバーの自家用車を活用します。

 

タクシー会社と契約を結んだ普通免許を持つ一般ドライバーは、自家用車で利用者を送迎するという通常のタクシーと同様のサービスを提供でき、収入を得ることが可能です。

 

この事業モデルは、タクシー会社が既存のサービスと合わせてライドシェアサービスを提供するため、タクシーの台数不足が顕著な時間帯や地域での移動手段を拡充します。

 

また、一般ドライバーにとっても自らの車を使い柔軟に働くことが可能となり、都市部だけでなく地方においても新たな収入源としての可能性を秘めています。
 


自家用有償旅客運送制度

日本型ライドシェアの中で、特に注目されるのが自家用有償旅客運送制度です。

 

自家用有償旅客運送制度では、移動手段が不十分な過疎地域に特化して、地域住民の日常生活を支援する目的で設計されています。また、自治体やNPOがライドシェア運行の主体となり、地域住民などが一般ドライバーとして有償で送迎を担うことで、地域固有の課題として挙げられる交通問題に対応できます。

 

2023年12月には、この制度に関する規制が緩和されました。これにより、ライドシェアでの利用運賃がタクシーサービスと比べて8割程度まで引き上げられました。そのため、ドライバーが旅客運送業の仕事として継続しやすくなりました。

 

自家用有償旅客運送制度は、公共交通機関やバス、タクシーだけではカバーできない地域住民のニーズに応えるものであり、地域コミュニティの一員として住民自身が積極的に参入できる点が特徴です。

 

また、規制の緩和により、以前よりも多くの一般ドライバーがこの制度を利用し、地域内での移動手段の充実が期待されています。  



ライドシェアのメリット

ライドシェアは、車の提供者と利用者の双方にメリットがあります。

 

一般ドライバーは、自身の時間を自由に使い、必要なときにだけ送迎することができ、自家用車の初期費用や維持費、ガソリン代といった車に関わる実費を稼げます。

 

一方で、利用者にとっては従来の公共交通やタクシーよりも、柔軟で便利な移動手段になります。特に、交通サービスが少ない過疎地や夜間時間帯では、ライドシェアが重要な交通サービスとなりえます。

 

また、ライドシェアの料金はタクシーよりも低価格に設定されることが多く、利用者にとって経済的な負担が少なくなるのも利点です。

 

ここからは、ライドシェアによる具体的なメリットを解説します。

 


交通の利便性が高まる

利用者は、ライドシェアの導入により、特にタクシーが不足している観光地や都市部での移動が大幅に快適になることが期待されています。

 

ライドシェアは、スマートフォンのアプリを通じて近くのいるドライバーと利用者とが簡単にマッチングできるため、車が到着するまでの待ち時間が少なく、必要な時にすぐに移動手段を確保することが可能です。

 

これにより、観光シーズンやイベント時のピーク需要にも柔軟に対応することができます。

 

また、交通サービスやインフラが未発達な地域においても、ライドシェアは地域住民にとって重要な移動手段となり、日常生活の利便性を向上させます。

 

人口減少に伴い公共交通の維持が難しくなる過疎地域では、ライドシェアによって日々必要となる交通サービスを維持させ、地域の活性化を支える役割を果たすでしょう。

 


交通手段の選択肢が増える

利用者は、ライドシェアの導入により、移動に関する費用や配車に要する時間を比較と検討ができ、自身に最適な移動手段を選べます。また、タクシーの台数が少ないまたはサービス提供が無い地域でも、ライドシェアを通じて移動手段を選択できます。

 

また、利用者はライドシェアを提供するプラットフォームを利用することで、近隣の一般ドライバーを迅速に発見でき、ドライバー手配を行うことが可能です。これは、時間が限られている場合や急な予定変更があった際にも、柔軟に対応することができるため、便利な交通手段となるでしょう。

 

さらに、地域によってはライドシェアが新しいコミュニティとの結びつきを生み出す場になります。ライドシェアをきっかけに、現地の人との新たな出会いや情報交換の機会となる可能性を秘めています。

 


安い料金で利用できる

利用者にとってライドシェアは、タクシーよりも安価な料金で利用できる点でも大きなメリットです。

 

特に、カープール型ライドシェアが事例として挙げられます。カープール型とは、目的地が同じ一般ドライバーと利用者が相乗りするライドシェアであり、利用者がドライバーに支払うのはガソリン代や高速道路代といった実費のみです。そのため、タクシーサービスよりも費用を抑えることができます。これは、出張などが多いユーザーにとって利点です。

 

また、日本でライドシェアが解禁されたことで、運送業界全体の価格競争を促進させ、さらに利用料金の引き下げが進む可能性があります。

 

ライドシェアを解禁している国や地域では、利用料が安いことがユーザーによって高く評価され、多くの人びとが日常的な移動手段としてライドシェアを利用しています。
 


自己の保有車で収入を得られる

個人が自己の保有車を活用して収入を得られる点も、ライドシェアのメリットです。

 

ライドシェアでは、タクシー事業者でなくとも個人が自由に運送サービスを提供できます。そのため、一般ドライバーは、自身のスケジュールに合わせて働けるため、働き方の柔軟性が高まるでしょう。また、個人がライドシェアを通じて、空いた時間を有効活用する副業としての収入を得られます。
 


過疎地域の交通問題を解決できる

ライドシェアは、過疎地域の交通問題を解決する手段になりえます。

 

人口が少ないまた人口減少する地域では、タクシー事業者の撤退が相次いでいるため、タクシーの台数と、タクシーサービスの供給を増やすことが不可能な状況です。そこで、ライドシェアの出番です。

 

また、一般市民が自己の車を使用して有償で運送サービスを提供することで、従来職業ドライバーになることが難しかった潜在的ドライバーを活用できます。

 

自治体やNPOが運行の主体となる場合は、公共交通の維持が困難な地域においても、地域住民が自らの車で他の住民や観光客を送迎することにより、地域内の移動手段としての役割を果たします。

 

さらに、公共交通サービスにかかる運行コストは、ライドシェアによって削減にもつながります。特に、路線バスの運行維持に苦心する自治体にとっては、公共交通サービスを維持するための手段となるでしょう。



ライドシェアの問題点

ライドシェアの導入にあたっては、地域によっていくつかの問題点や課題が懸念されています。主な問題点は、以下の4つです。

 

●     ドライバーによる危害の可能性

●     飲酒運転などの危険

●     ドライバーの質の問題

●     既存事業者の収益性低下

 

これらの問題点は、ライドシェアがもたらす利便性とは裏腹に安全性や法的な保護、および労働条件の面で多くの課題があります。

 

特に、利用者の安全性に関する問題点はサービス利用者と提供者の双方にとって重要な課題であり、これらの課題解決がライドシェアの将来の発展には必要不可欠です。

 


ドライバーによる危害の可能性

ライドシェアでの安全性は、懸念点の1つとして注目されています。特に、一般ドライバーが乗客に対して危害を加える可能性が秘めているからです。ライドシェアを導入した海外においては、運転手による乗客への暴行や誘拐といった犯罪が発生し、利用者の安全が脅かされています。

 

ライドシェアサービスを提供するプラットフォーム事業者によっては、ドライバーの選定や管理不足が指摘され、利用者へのリスクを高める要因となっています。

 

さらに、事業者によっては一般ドライバーに対して背景調査や運転技術の確認が徹底されていないため、運転手の質が担保されず、利用者との間にトラブルが発生するリスクがあります。また、車内という閉鎖空間でのサービス提供は、夜間や人里離れた場所での利用時に、乗客の不安を増大させるでしょう。

 

このようにライドシェアは、ドライバーによる危害リスクという深刻な問題を抱えているため、利用者の安全性を担保するためにはさらなる規制や安全対策の強化が求められます。
 


飲酒運転などの危険  

ライドシェアでは、一般ドライバーによる飲酒運転などの危険性も懸念されています。

 

従来のタクシーサービスでは、ドライバーの体調確認や車両点検、酒気帯び確認といった厳格なチェック体制が設けられています。ライドシェアは、こうした体制整備がされていないことが要因として挙げられます。

 

そのため、ドライバー自身が、健康状態と運転適性を自己管理する必要がある中で、飲酒運転が発生すると重大な事故につながるリスクが高まります。さらに、ライドシェアでは、ドライバーの体調不良や睡眠不足が原因での居眠り運転なども、深刻な問題点として懸念されています。

 

これらの問題に対処するためには、ライドシェアプラットフォーム側でドライバーの健康状態や運転適性を事前チェックするシステムを導入し、連続運転時間の測定や長時間運転の制限設定、適切な休息時間の確保など厳格な規制と実施が求められています。



ドライバーの質の問題  

一般ドライバーによっては、職業資質や運転技術、知識などにばらつきが存在することもライドシェアの大きな問題点です。

 

ライドシェアのドライバーが、タクシードライバーと同様な専門的知識や技術があるとは限らず、さらに必ずしもそれらが求められないため、ドライバーの質に対して一定の保証がありません。

 

また、ライドシェアでは運転事故が起きた際の保険適用や補償について問題が挙げられます。ライドシェアサービスにおける適切な保険制度や提供、事故発生時の迅速な補償対応が不可欠です。

 


既存事業者の収益性低下

ライドシェアは、一般的な交通手段に比べて低料金で利用可能であり、特に価格に敏感な消費者にとって魅力的な選択肢となっています。

 

そのため、既存のタクシー事業者や公共交通機関にとっては、ライドシェアサービスによって顧客を奪われる可能性が高く、それにより収益性が低下する懸念点があります。

 

しかし、ライドシェアとタクシー事業者との共存については、異なる意見も挙がっています。ライドシェアが導入されることで交通手段の選択肢が増え、特にタクシードライバーが手薄な地域や時間帯において補完的な役割を果たすと考える専門家もいます。

 

これにより、旅客運送業について市場全体の効率性が向上し、消費者にとってより良いサービスが提供される可能性もあるでしょう。

 



自治体によるライドシェア事例

ライドシェアは、交通インフラが未発達な地域や人口が少ない地域において、新たな移動手段としての可能性を秘めています。

 

政府が拡充した制度を活用して、新たに5つの市と町がライドシェアの事業を始めることが決定しました。これらを自治体ライドシェアと呼ばれ、自治体が運行主体となるライドシェアとして地方創生事業としても注目されています。

 

自治体主導でのライドシェア事業は、地域に根ざした継続的な交通サービスの提供と地方の活性化が主な目的です。ここからは、石川県加賀市と小松市、富山県南砺市の事例を紹介していきます。

 


石川県加賀市

石川県加賀市では、自治体主導でのライドシェアサービス「加賀市版ライドシェア」を始動しました。

 

このプロジェクトは、加賀市観光交流機構と地元の運輸会社が連携して実施し、地域住民と観光客の交通アクセス改善を目指しています。

 

このサービスは、グローバルな配車サービス「Uber」の技術を利用しながら運用され、加賀市全域で夜間帯、19時から23時までに限定して提供しています。また、加賀市版ライドシェアは7時から19時の間、加賀温泉駅と主要観光地やレジャー施設、文教施設を結ぶ区域でも利用可能です。

 

加賀市版ライドシェアの運賃は、通常のタクシー料金の8割程度と設定され、利用者にとって手頃な価格でのサービス提供が可能となっています。

 

また、ライドシェアの運行サービスと安全管理は、市内にある加賀第一交通株式会社が担当し、ドライバーについては加賀市観光交流機構と業務委託契約を結んでいます。ドライバーは特定の資格を持つ者のみが選ばれ、予約や配車はすべてUberアプリを介して行われます。

 

さらに、運賃の支払いはキャッシュレスでの取り扱いが義務づけられ、利用者の利便性を高めています。

 

この取り組みにより、市内の交通サービスが拡充され、観光客の増加や地域経済の活性化に貢献することが期待されています。

出典:加賀市「加賀市版ライドシェアを開始しました!」
 


石川県小松市

石川県小松市では、自治体主導のライドシェアサービス「i-Chan」が開始しました。このサービスは、特に能登半島地震の二次避難者を支援するために導入され、避難者には無料で提供されています。

 

加えて、北陸新幹線の開通に伴い増加が見込まれる観光客や、日常的に移動しづらさを感じる市民にとっても、交通手段の1つとして利用されています。

 

i-Chanの運行は、木曜日から土曜日の17時から24時までに限定され、小松市内全域および隣接する能美市、加賀市でも乗降が可能です。利用者は、車の予約を専用アプリ「いれトク!」または電話で行え、タクシー料金の約80%の価格で利用できます。

 

このサービスは、特に夜間のタクシーが不足する時間帯に、安価で便利な移動手段を提供し、市民にとって生活の質の向上に寄与しています。

 

運賃の支払いは、キャッシュレスで行われ、地震の二次避難者に対しては無料クーポンを使用できます。この結果、誰もが簡単に利用できるようになり、地域住民及び観光客の利便性が大きく向上しています。

出典:小松市「小松市ライドシェア「i-Chan」の運行」
 


富山県南砺市

富山県南砺市は、「南砺市版自治体ライドシェア」プログラムを通じて、地元住民にとって便利で気軽に利用できる移動手段サービスを提供しています。プログラムの目的は、特に交通サービスが不足している地域で住民の移動を支援することにあります。

 

このライドシェアは、南砺市の利賀地域で実証運行を開始し、市営バス「村内線」運行エリア内で利用可能です。

 

南砺市版自治体ライドシェアの運行は、平日の9時から15時30分まで行われ、利用希望日の前日17時までに予約が必要です。このサービスは、誰もが利用でき、観光客を含めた全ての市民が対象です。料金は、非常に手頃で1人1乗車につき500円となっています。

 

今後、運行時間帯や運行区域の拡大についても検討されており、市民の生活の利便性向上に寄与することが期待されています。

出典:南砺市「南砺市版自治体ライドシェアを便利に気軽にご利用ください」




これからは乗客の安全性を確保できる制度の拡充が求められる

日本でのライドシェアサービスが本格的に始動し、タクシー会社以外の事業者が運営することを認めるかどうかは議論が続いています。

 

また、地域によってはライドシェアを自家用有償旅客運送制度の特例制度として設けています、また、自家用有償旅客運送制度をさらに活用して、需要によって料金を上げたり下げたりするDP(ダイナミックプライシング)の導入も決まり、観光地での需要と供給に応じた料金設定が計画されています。

 

ライドシェアの安全性では、タクシー業界が有する既存の安全基準に沿った運営が求められ、一般ドライバーであっても同等の安全管理が施されることが重要です。

 

他にも、一般ドライバーには普通免許の保持以外にも安全な運転を実現するためには、無事故の運転履歴が必要とされ、タクシー業者が行うような車両の整備や保険への加入も求められています。

 

今後の展開として、タクシー業界との協調を図りつつ、より多くの地域で安全かつ効率的なライドシェアサービスが提供されることが期待されます

 


▶監修・解説:北川哲也氏

補助金や許認可の手続きを専門とする行政書士事務所Link-Up代表 北川哲也氏。

2011年に29歳で開業し7年間個人事務所として中小企業向け行政書士サービスを展開。2018年春に株式会社Link-Upを立ち上げ、士業サービスでカバーしきれないコンサルティングや顧問サービスをスタート。公益社団法人茅ヶ崎青年会議所の2021年度理事長や認定NPO法人NPOサポートちがさき参画など活動多数。



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