2021年06月16日

観光資源とは?定義や国内の観光資源を把握し、新たな観光施策に繋げよう

「観光資源を活用してわが自治体でも何か施策を打ち出せないだろうか…」
「そもそも観光資源ってどんなものがあるんだろう…」

観光関係の部署所属の自治体職員さんはそんなお悩みをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
知っているつもりでも、自分が住む地域だと意外と豊かな観光資源に気付かないもの。
そこでこの記事では、観光資源の定義や種類、全国の観光資源活用事例を解説します。
新たな観光施策の考案に役に立てれば幸いです。

観光資源の定義とは?

観光資源というと、多くの観光客がそれを目当てに訪れるような華々しいものだと思い込みがちです。

しかし、地域には隠れたお宝観光資源が眠っていることも多々あります。
観光資源の定義と種類を詳しく見ていきましょう。
 

観光資源とは

公益財団法人 日本交通公社による観光資源の定義は以下のようになっています。

観光資源とは、人々の観光活動のために利用可能なものであり、観光活動がもたらす感動の源泉となり得るもの、人々を誘引する源泉となり得るもののうち、観光活動の対象として認識されているものである。
 

観光資源の種別とランク

観光資源は「自然資源」と「人文資源」の2つの資源タイプに分けられます。
それぞれに分類される資源は以下の通りです。



さらに、自然資源と人文資源はランクで分けられています。

日本全体のイメージに直結するものをSランクの「特A級資源」、Aランクの「A級資源」とし、都道府県や市町村ごとに代表される資源をBランクの「特別地域観光資源」としています。
観光スポットとしての知名度とリンクしているイメージです。

S:特A級資源
A:A級資源
B:特別地域観光資源

詳しくは後述しますが、例えば自然資源のうち特A級資源には「山岳」が多く、富士山や阿蘇山、大雪山など日本国内に5つあります。
他にも湖沼では十和田湖、植物では吉野山のサクラや屋久島の森などがあり、自然を感じられる観光スポットとして国内外問わず観光客が賑わう場所だと多くの人が認識していることでしょう。
人文資源のうち特A級資源に分類されるのは神社・寺院・教会が多く、奈良の東大寺や法隆寺、平等院などがあります。

 

日本の観光資源の事例


では、より具体的にどんな観光資源があるのかについて等級ごとに見ていきましょう。

S「特A級資源」

①富士山
②奥入瀬渓
③日光東照宮
④出雲大社
⑤東京ディズニーリゾート、など

特A級資源は富士山をはじめ、日光東照宮や出雲大社など日本観光地を代表するものが多く見受けられます。
 

A「A級資源」

①岩手山
②松島
③芦ノ湖
④浅草寺
⑤新宿御苑、など

A級資源も特A級資源に負けず劣らず有名な観光地です。
その県を訪れた際には巡りたい箇所として候補に入ってくるところが多いでしょう。
 

B「特別地域観光資源」

①蔵王山
②白糸の滝
③九十九里浜
④座間味のクジラ
⑤表参道ケヤキ並木、など

特別地域観光資源もその土地を訪れた際にぜひ立ち寄りたい場所です。
自然が豊かな日本だからこそ多くの山岳や高原、海岸などが選定されており、数多くの人が魅了されています。
 

日本全国の観光資源活用事例

この章では、日本全国の自治体が観光資源をどのように活用しているのかを見ていきましょう。

見ていく観光資源と所在地は以下の通りです。

①高千穂峡、高千穂夜神楽、高千穂神社(宮崎県)
②琵琶湖(滋賀県)
③郡山城(奈良県)
④種差海岸、蕪島のウミネコ(青森県)
⑤越後山古志 牛の角突き(新潟県)

 

高千穂峡 、高千穂夜神楽 、高千穂神社  

一つ目の宮崎県高千穂町にある高千穂峡、高千穂夜神楽、高千穂神社。
高千穂峡と高千穂神社は特別地域観光資源、高千穂夜神楽はA級資源になっています。

高千穂町は天岩戸(あまのいわと)神話という日本神話の舞台になっていて、神話に関連するスポットや神社などが有名です。
当初、神話や自然を売り出したプロモーションをしていた高千穂町。
しかし、立ち寄り客や日帰り客が多く滞在時間が思うように伸びませんでした。
アンケートを実施してみると外国人観光客はそもそも日本に神話があることを知らないと分かります。
そこで高千穂町では外国人に向けて日本神話の認知度を高めるために、羽田空港国際ターミナルでの神楽奉納や、高千穂神社にて毎晩楽しめる国の重要無形民俗文化財「高千穂神楽」をアピールしました。

取組を通して高千穂町の外国人観光客数は、2011年に1万人未満だったのが、2017年に7万人を突破するほどに。
「外国人の日本神話への認知度は低い」という事実は、アンケートをとらねば分からなかったこと。
インバウンドは特に言えることですが、観光客の声を聞いて効果的なコンテンツを作ってプロモーションを実施したことが観光資源を活用することに繋がったといえるでしょう。

 

琵琶湖

二つ目は日本最大の面積を誇る琵琶湖です。

滋賀県は観光入込客数が全国1位(H26)、インバウンド観光客数の増加率が全国2位(H26)、観光入込客数が過去最高の5,248万人(H29)を記録しながらも、近隣府県からの来訪が主なので日帰り観光客が約93%で宿泊客が少ないことが大きなネックとなっていました。
そこで、滋賀県、大津市、高島市、米原市、守山市など県と琵琶湖周辺の自治体が一体となって進めているのが滞在型観光の推進です。

泊まらないとできない体験として、
・宿泊施設から見える雄大な琵琶湖の眺望など湖畔リゾートイメージの発信
・夜間特別拝観や早朝座禅体験など宿泊して体験したいプログラム企画の促進
・ライトアップ、イルミネーションイベントなど夜間限定で楽しめるイベントの開催
などの施策を展開しています。

また、滋賀県最大の観光資源である琵琶湖を活かしてビワイチという琵琶湖を一周するサイクリングの普及にも努めています。
具体的には、レンタサイクルステーションや湖上交通等の環境整備したり、各地域の歴史的遺産や宿泊施設、地産地消の食事処などとレンタサイクルステーションを有機的に結びつけ、観光客の体力や日程に合わせたツーリングパッケージを提供したりしています。

県と市が連携することによって、滞在型観光という大きな課題の解決に向かっています。

 

大和郡山の街並み 

三つ目は、大和郡山の街並み。

郡山城や松尾寺などのある奈良県大和郡山市は金魚養殖の三大産地として知られています。
全国金魚すくい大会などのイベントを実施するも、一時的な賑わいのみで終わっていました。
そこで、観光客にお金を落としてもらえるように街全体の賑わい創出事業を実施。

・郡山城の天守台が復元される(H28)のに合わせ、VR体験ができるアプリを開発
・街中の魅力を高めるための散策案内を作成
・金魚がみられるスポットで「デジタル金魚コレクション」の獲得
・周辺店舗の負担によるクーポンの提供

街並さえも資源となるほど魅力のある地域に元からある資源をうまく活用し、地元商店街のクーポン提供をするなど地域住民と協力した取組を実施。
来てもらうのはもちろん大事ですが、ただ入れ込むだけでなくお金を落としてもらえるような仕組みづくりがなされた点を参考にしたいです。

 

種差海岸 、蕪島のウミネコ 

四つ目は、青森県八戸市の三陸復興国立公園内にある種差海岸。
海岸北にある蕪島は国の天然記念物でもあるウミネコの繁殖地として広く知られています。

市では観光による地方創生を目指して、地域の「稼ぐ力」を引き出す「はちのへDMO」を設立。
三陸復興国立公園に指定された蕪島や種差海岸の整備を進めました。

具体的には、みちのく潮風トレイルを整備し、さわやかな海風を感じながらトレッキングができるようにしたり、観光スポットを周遊する100円均一のワンコインバス・うみねこ号を完備して利便性の向上にも努めていたりしており、観光客で賑わっています。

行政が受入体制の充実を図るため蕪島や種差海岸をはじめとする観光施設の整備や、外国人を含めた観光客受入体制の充実、利便性の高い二次交通の整備を進めることで基盤が整っています。

 

越後山古志 牛の角突き 

最後の五つ目は、新潟県長岡市山古志の伝統行事、牛の角突き 。いわゆる闘牛です。

県では、中越大震災という歴史に残る大きな地震があって存続が危ぶまれた地域の伝統芸能を守るため、案内看板の設置やガイドブックの制作を行い、地域内外の観光客を取りこぼさないような施策を実施。
山奥にある闘牛場までのアクセスルートは、観光客にとって分かりにくいものだったので利便性を高めるため、大型案内看板や道路案内標識などを設置しました。

アクセスが分かりにくいと悪評がたってしまうと地域の伝統行事を一目見るため足を運ぶ観光客も遠のいてしまいます。
そこをすかさず整備できるのは自治体にしかできないこと。
声を拾って基礎的な施策を実施するのも大事です。

 

まとめ

外から訪れた人には分かりやすいその土地の良さ。
自分が住んでいるだけではその魅力に気が付かないのはよくあることです。

観光資源の魅力を最大限引き出すために大事なことは、
・自分たちの考えと外の人間の考えは違うことを理解し、声を訊く
・地域が持つ観光資源を把握し、網羅的に施策を考える
ことではないでしょうか。

「そもそも観光資源ってどんなものがあるんだっけ?」
「この地域には目立ったものは何もないと思っているけど、観光資源ってあるのかな?」
そう考えている自治体職員の方の参考になれば幸いです。

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