SDGs未来都市とは?選定都市やモデル事業についてもご紹介します。

SDGsとは、「Sustainable Development Goals」の略で、直訳すると「持続可能な開発目標」を意味します。

 

2030年までという期限を設けて、社会や経済、環境の問題における国際的な取り組みを各国で進めていこうというのがその内容です。その中で日本政府はSDGsに対する自治体の取り組みに対して、SDGs未来都市を選定しています。それはSDGsの理念と地方創生を組み合わせることにより、経済発展のみを追い求めるのではなくて、社会や環境に配慮した持続可能な都市を目指していこうという試みです。

 

この記事ではSDGs未来都市の詳しい解説や、2019~2020年度の選定都市と、優れた取り組みを行うことで選ばれる自治体SDGsモデル事業の紹介をしていきます。



SDGs未来都市と17の目標とは?

SDGsの読み方は、エスディージーズです。持続可能な開発目標を意味する「Sustainable Development Goals」の略で、2015年の国連サミットで採択された国際目標となります。SDGsというアルファベットと、カラフルなホイール型のロゴを見たことがある人も多いのではないでしょうか。

 

人類がいまだに解決できない社会や経済、環境の問題について、2030年までに達成するべき17の目標と、より細かい169のターゲットを打ち立てています。

 

17の目標は、「誰一人取り残さない」という理念の元、貧困や飢餓、環境保護などの問題から、経済成長による雇用や不平等の問題まで多岐に渡り、いずれの目標においても、経済と社会、環境という三側面のバランスを取ることが重要とされています。

 

例えば、経済成長だけを追い求めると、資源の枯渇や自然環境の悪化を招いてしまうかもしれません。それでは持続可能な開発とは言えないのです。
その一方で、環境保護の対策や平等な社会の実現には、対策費用が必要になります。

 

こうした活動で新たな市場を創出し、経済活動を活発にすることができれば、社会や環境問題への対策も長く続けることができるでしょう。このように、三側面が相乗効果を生むような体制を作ることが大切なのです。

 

日本政府は地方自治体に対してSDGsに関する取り組みを公募しています。そして、実現可能性が高い優れた提案には、「SDGs未来都市」に選定して自治体の支援を行っているのです。

 

その取り組みは2018年度から始まり、毎年度約30の自治体がSDGs未来都市に選ばれています。選定後は、政府から事業に対する多角的な支援を受けられることから、事業の実現可能性を高めることができるでしょう。

 

また、他の自治体がお手本にできるような特に優秀な事業計画については、自治体SDGsモデル事業に選定されます。自治体SDGsモデル事業は、毎年度10自治体ほどしか選ばれず、経済と社会、環境という三側面のバランスがしっかりと取れていなければなりません。自治体にとっては狭き門ですが、選定された場合には事業に対して補助金が支給されます。予算的に厳しかった設備投資や人材登用・育成などに補助金を活用できるのは大きなメリットです。
 



SDGs未来都市に選ばれた自治体をご紹介

SDGs未来都市は2018年度から毎年選定されており、選定されるには、経済、社会、環境の三側面が相乗効果を生むような提案でなければなりません。
 

2019年度の選定都市

2019年度の選定都市は

 

岩手県陸前高田市、福島県郡山市、栃木県宇都宮市、群馬県みなかみ町、埼玉県さいたま市、東京都日野市、神奈川県川崎市、神奈川県小田原市、新潟県見附市、富山県、富山県南砺市、石川県小松市、福井県鯖江市、愛知県、愛知県名古屋市、愛知県豊橋市、滋賀県、京都府舞鶴市、奈良県生駒市、奈良県三郷町、奈良県広陵町、和歌山県和歌山市、鳥取県智頭町、鳥取県日南町、岡山県西粟倉村、福岡県大牟田市、福岡県福津市、熊本県熊本市、鹿児島県大崎町、鹿児島県徳之島町、沖縄県恩納村

 

上記の31都市です。

 

沖縄県恩納村の事業では、貴重な観光資源であるサンゴを保全するプロジェクトが提案されています。企業の協力や村民に特別税を払ってもらうことでサンゴを保護し、観光産業を持続可能なものに転換するのが目標です。その収益によって雇用の創出や将来世代の育成などを進め、住民へと利益を還元していきます。

 

福井県鯖江市におけるSDGsの取り組みでは、女性が活躍できるまちづくりを目指しています。鯖江市はもともと女性就業率や共働き率で全国トップクラスです。また、65~74歳の女性ボランティア活動時間が全国1位になるなど、女性が地域活動の担い手としても活躍しています。

 

そうした地域の特徴をさらに活かしていくため、鯖江市は女性が働きやすい環境を整えることを事業の柱の一つとしました。女性のエンパワーメントを引き出し、地場産業の担い手不足や若者の県外流出などの課題に対応するというのが事業の目標です。

 

女性活躍推進施設である「夢みらい館・さばえ」を活動拠点として、意識改革のための啓蒙活動や女性が働きやすい環境を整備している企業への支援、女性が社会に進出する際の障害となるインポスター症候群の研究・対策を進めていきます。
 

2020年度の選定都市

2020年度の選定都市は全部で33都市です。

 

岩手県岩手町、宮城県仙台市、宮城県石巻市、山形県鶴岡市、埼玉県春日部市、東京都豊島区、神奈川県相模原市、石川県金沢市、石川県加賀市、石川県能美市、長野県大町市、岐阜県、静岡県富士市、静岡県掛川市、愛知県岡崎市、三重県、三重県いなべ市、滋賀県湖南市、京都府亀岡市、大阪府・大阪市、大阪府豊中市、大阪府富田林市、兵庫県明石市、岡山県倉敷市、広島県東広島市、香川県三豊市、愛媛県松山市、高知県土佐町、福岡県宗像市、長崎県対馬市、熊本県水俣市、鹿児島県鹿児島市、沖縄県石垣市

 

2019年度では高齢化や労働人口の減少などのあまり地域性のない課題に取り組んでいた自治体が多かったのに比べて、2020年度の事業計画では自治体独自の課題について解決策を考えている提案が増えました。

 

三重県いなべ市では、市内の約58%を占める林地面積のほとんどが活用されていない状況を踏まえて、グリーンインフラ商業施設「にぎわいの森」を建設しています。そこを拠点として、山林の活用や市内商工業の活性化、グリーン・ツーリズムの推進などを図っていくのが事業目標です。

 

東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市では、復興公営住宅で一人暮らしを続ける高齢者の増加や、特に被害が大きかった半島沿岸部の人口減少・移動手段の確保などが課題となっています。そこで、環境への負荷が少なく、高齢者でも利用がしやすいグリーンスローモビリティを活用することをSDGsの事業目標としました。

 

高齢者にとっては利便性の高い移動手段を得ることにつながり、経済面においても環境に配慮した新産業の創出によって雇用が生まれます。そして、高齢者の外出機会が増えれば、消費の拡大や地域コミュニティの活性化も期待できるでしょう。経済と社会、環境の相乗効果を見込める先進的な取り組みです。
 


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自治体SDGsモデル事業とは?

日本政府は、SDGs未来都市に選定された事業の中で特に先導的な取り組みに対して、毎年10事業を自治体SDGsモデル事業に選んでいます。選定された自治体には、2019年度と2020年度には3000万円の補助金が支給されました。

 

自治体はこの補助金を設備・機械装置の導入や外部人材の招聘、ステークホルダーとの連携強化などに使うことができます。
また、SDGs未来都市における成功モデルとして、国内外に情報を発信することも重要です。そのための普及啓発経費としても補助金を利用できるため、SDGsの取り組みを浸透させると共に、自治体の知名度向上にも繋がるでしょう。

 

自治体SDGsモデル事業に選ばれるには、経済と社会、環境の統合的な取り組みによって相乗効果を生んでいる必要があります。そのためには、その自治体の実情に合った事業の展開が欠かせません。地域の事業者や金融機関などの多様なステークホルダーと連携しながら、自律的好循環が見込まれる事業が選定されています。
 



自治体SDGsモデル事業に選ばれた自治体をご紹介

2019年度の自治体SDGsモデル事業選定都市

福島県郡山市、神奈川県小田原市、新潟県見附市、富山県南砺市、福井県鯖江市、京都府舞鶴市、岡山県西粟倉村、熊本県熊本市、鹿児島県大崎町、沖縄県恩納村

2019年度の自治体SDGsモデル事業選定都市は、いずれの事業もSDGsにおける17の目標を多く含みながら、経済と社会、環境のバランスが取れています。それぞれの地域性に応じて、自治体が一貫性のある主張ができているのも重要な要素です。

 

福島県郡山市の事業計画では、焦点となるのは市民の健康。オープンデータを活用することで、生活習慣病の治療から予防へと転換を図り、保健所と地域を一体化させることで市民に保健指導を実施していきます。その結果として健康寿命が延びることで、働き手の増加と環境活動の担い手を増やすことを視野に入れます。

 

経済面においては、もともと学術・研究機関が多く、交通に恵まれた立地を活かして、医療・健康産業を集積・新興することが事業目標です。

 

鹿児島県大崎町では、ゴミの焼却施設がないために、埋立処分場の残余年数が逼迫しているのが大きな問題でした。焼却施設の建設・維持は財政負担が重く、新たな埋立処分場を建設するのは周辺住民の反対で日本全国どこでも難しい状況があります。

 

そこで、行政はリサイクルセンターや収集業者などの企業と連携して、後に大崎システムと呼ばれるようになる新しいリサイクルシステムを生み出したのです。住民に27品目のゴミ分別を行ってもらうことで、大崎町のリサイクル率は日本一になりました。大崎町は、大崎システムを活用した循環型地域経営モデルの策定や国際的連携、人材育成を行っていく事業によって、自治体SDGsモデル事業に選ばれています。
 

2020年度の自治体SDGsモデル事業選定都市

宮城県石巻市、東京都豊島区、石川県金沢市、三重県いなべ市、京都府亀岡市、大阪府・大阪市、大阪府富田林市、岡山県倉敷市、愛媛県松山市、沖縄県石垣市

 

2020年度の自治体SDGsモデル事業選定都市は、地域の実情にあった提案が多くなりました。

 

東京都豊島区の事業は、池袋駅周辺にある4つの公園を電気バスで繋いで、まちづくりの中心に据えるというものです。それぞれの公園は、アニメの聖地であったり、本格的なクラシック演奏が可能であったりと特徴があります。そこで文化イベントを実施していくことで、区のイメージアップや地域コミュニティの形成、イベント収益の住民への還元につなげていくのが事業の目標です。最終的には、国際アート・カルチャー都市として豊島区を位置づけるという大きな計画となります。
 




SDGs未来都市のポイントは経済と社会、環境分野で生まれる相乗効果

SDGs未来都市に選ばれているのは、経済、社会、環境の三側面がどのように相乗効果を生んでいくのかをしっかりと考察した自治体です。国連サミットでSDGsが提唱される以前から、日本では少子高齢化や労働人口の減少などが地方自治体における深刻な問題でした。その地方創生の取り組みとSDGsが結びつくことで、新たな視点から持続可能な開発目標を考えることができます。

 

SDGs未来都市や自治体SDGsモデル事業に選定されれば、政府の支援を受けながら、補助金を活用した事業の進展も図ることができるでしょう。SDGsの理念を掲げたまちづくりが、これから地方創生を実現していくためのキーワードになりそうです。



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