2022年02月04日

移住支援で大切な3つのポイントと、支援金の活用について

移住促進に関する部署に属している自治体職員さんの中で、新しい打ち手や支援の仕組みに悩んでいる方は少なくありません。
 

移住検討者からすると、知っている土地であればまだしも知らない土地に移住するというのは非常に勇気がいること。

移住を考えている人は、主に以下の要素を気にしています。
①仕事
②住まい
③地域の受け入れ態勢

これらの不安が取り除かれなければ、なかなか移住を決断するのは難しいところ。
自治体側では、上記の3つの要素を中心とした移住支援を行う必要があります。

 

そこで今回は、それぞれの要素について大切なポイントをまとめました。

1.仕事について

「場所を変えたら仕事も変えないといけないけれど、自分に合う仕事はあるのだろうか…」

移住を検討するときに、大半の人が気になるのが仕事のこと。

 

移住先で仕事を新たに探す人もいますし、テレワークという働き方が推奨され、必ずしも都心部にいる必要がない人も増えたため、UターンやIターン、二拠点生活などを考える人もいます。

そこで、移住先での働き方と仕事に関する自治体の支援制度についてまとめました。

1-1.移住先での働き方

移住先での働き方は大きく分けて以下の3つになります。

・移住先の企業への転職

・リモートワーク

・起業

移住した土地で新しく仕事を探したり、完全リモートワークが可能な企業への転職をしたり、移住先で起業をする、などの選択肢があります。

 

起業に関しては、移住後に経済も活性化してもらえる可能性が高いので、起業にかかる資金を支援する自治体も多いです。

1-2.仕事にまつわる自治体支援

仕事にまつわる自治体の支援は主に以下のものがあります。

移住者個人の仕事にまつわる支援と、企業に向けての支援とがあります。

 

・自治体で運営する求人サイトからの就業を条件として、移住先企業に就職したら就職祝い金を交付(ふるさと求人)

・移住先企業に就職したら家賃を補助

・移住先企業に就職するために必要な資格を取得するための費用を補助

・移住を目的に就職活動をする際の宿泊費補助

・地方へのUターンIターンを支える企業の紹介

・地域企業が積極的に都心部の人材を採用できるようなサポートの促進

1-2-1.移住者向け就業支援金

例えば山形県では、東京圏から山形へ移住し就業した人に移住支援金(最大100万円)を支給する山形県移住支援事業を行っています。

また、埼玉県と埼玉県内対象地域9市町村が連携し、人口減少が進む地域への移住を促進するため対象地域の中小企業等に就職した人、対象地域で起業した人等に
移住支援金を支給する制度を実施しています。
支援金額は、単身で移住の場合には60万円、世帯人員が2人以上で移住の場合には100万円となっています。

1-2-2.起業支援金

ただ起業する際に支援金を出すのではなく、石川県かほく市では空き家・空き店舗の活用を促進し地域の活性化を図ることを目的として、空き家・空き店舗を活用し出店する際の物件購入費や改装工事費等に対して最大360万円の補助金を交付する、空き家空き店舗活用事業補助金を用意しています。

1-2-3.テレワーク移住者向け支援金

国ではテレワークで東京での仕事を続けつつ地方へ移住する人向けに、移住支援金を用意する地方創生移住支援事業を行っています。
具体的な自治体の事例だと千葉県印旛郡栄町では、栄町に転入して在宅勤務をする人に対して応援金5万円を補助するという在宅勤務転入者応援事業を行っています。

1-2-4.地方へのUターンIターンを支える企業の紹介

地方へのUターン、Iターン転職を考えている人を積極的に受け入れている地場企業があります。

地方自治体では移住希望者向けの相談窓口を設け、移住や就業に関する情報提供やサポートを行っていますが、その際にそういった地場企業を積極的に紹介する取組を行っている自治体も少なくありません。

各地域に特化した「Uターン/Iターン専門の転職サービス」などもあるので、そのサイトの運営会社と一緒に転職イベントを行うこともあるようです。

2.住まいのサポート

移住を考えたときに気になるのが住まいのこと。

賃貸物件を探すのか、今後も住み続けると決めて物件を購入するのか迷う方も多いです。

 

自治体では、移住者の住まい確保のために以下のようにさまざまな支援金を用意しています。

・住宅取得支援金

・家賃補助金

・新築住宅補助金

・一定期間住み続けたら家をプレゼント

・空き家を取得して改修した場合の補助金

2-1.住宅取得支援金

移住先で住む家を取得する際に使える支援金の補助を行う自治体が多いです。

山形県遊佐町では、不動産会社などが土地を仕入れて住宅を建て、土地と住宅をセットで販売する建売住宅と中古住宅を、定住を目的として取得する場合に対象取得費の12%(上限120万円)を助成する定住住宅取得支援金があります。

2-2.家賃補助金

移住先で賃貸物件に住む際の家賃助成があります。

北海道三笠市では、若者世帯、単身世帯へ賃貸住宅の家賃を一部「みかさ共通商品券」商品券で補助をする、若者移住定住促進家賃助成事業を行っています。

具体的には、若者世帯は3万円を上限として60ヶ月助成、単身世帯は2万円を上限として36ヶ月助成をしています。

※若者世帯向けの補助の対象者は、夫婦いずれかが満40歳未満の世帯又は中学生までの子が居住し、かつ、その子を扶養している世帯

2-3.新築住宅補助金

移住先で新築住宅を建てたときに出るのが新築住宅補助金。

家を建てて移り住んでくれるというのは、長く住んでくれる可能性が高いため自治体としても喜ばしいです。

北海道上川町では、安全・安心で快適な住環境の確保と子育て世帯を中心とした移住・定住を促進することを目的に、町内において住宅を新築した人に最大250万円補助金を交付する、住宅建築促進支援事業補助金を用意しています。

2-4.一定期間住み続けたら家をプレゼント

茨城県境町では20年間住み続けたら土地と新築戸建住宅を無償で譲渡するという取組を行っていました。

非常にユニークで好評の取組となっています。
 

以下の4つの条件があるのですが、当てはまる方で移住先を検討している方にとってはうってつけでしょう。

①町外からの移住者であること(申込時に町外居住者であること)

②世帯主が45歳以下で、中学生以下の子どもがいる世帯または妊娠している者がいる世帯

③地域活動に積極的に参加すること(行政区への加入など)

④町の広報活動に協力すること

※第4期の募集はすでに締切となっております(2021/12/31現在)

2-5.空き家を取得して改修した場合の補助金

全国のほとんどの各地方自治体には、空き家バンク制度があります。

長崎県東彼杵町では、空き家バンクを活用して空き家を貸したい人と借りたい人がマッチングすると、もろもろの条件はありつつもそれぞれに奨励金を出したり、空き家改修等奨励補助金といって、空き家等の機能向上のための改修等に要した経費を補助限度額100万円として、2分の1以内を交付したりしています。

3.オープンな相談先

移住にまつわる不安を相談できる場所が、公的な機関である役所や移住支援を行う人のところだけというのは、移住希望者にとっては心もとないもの。
実際に移住をした人に話を聞けたり、移住者同士のコミュニティがあって交流ができたりすると安心感が増すようですが、実際の移住経験者と交流できるカフェや宿泊所、マルシェなどの場を提供する取組を行う自治体があります。

 

たとえば栃木県小山市では定期的に情報交換や繋がりの場として、移住者交流会を開催しています。
他にも、富山県黒部市の移住者のコミュニティである移住者サークル「黒部のとびら」では、畑仕事を通すことで移住者同士の距離が縮まりやすく、何でも相談しやすい雰囲気があります。

 

移住交流会はどの自治体でも比較的行っていますが、一緒に何か趣味などの共同作業をすることで移住者同士、移住者と地域住民との交流ができると、「相談をする場」として身構えなくてもよいのかもしれません。

4.支援金の活用ついて

移住に際し、補助金や支援金などを支給している自治体は増えていますが、一時金があることで移住の決断ができるかというとそうではありません。

そういった予算を地域の空き家の改修などに使用し、空き家問題と並行して移住促進を促すような仕組みやお金の使い方もあるのではないでしょうか?

例えば空き家や空きテナントでお店を開いたり民宿を始めたりと、移住支援と空き家に関する取組(起業×住まいの確保)を掛け合わせることで、移住者にとっての懸念である「仕事」のみならず、「住まい」にも繋げることができます。

一時的な支援金のみならず、移住希望者視点で「どのような補助、支援があったら移住を決断できるか」を徹底的に考えてみることで、移住希望者にとって本当に必要な支援金の取組ができるのではないでしょうか。

5.まとめ

地方への移住を考えている人は、「仕事」、「住まい」、「地域の受け入れ態勢」、を重要視しています。

これらの要素が整わなければ、いくら一時的な支援をしたとしても移住にはなかなか踏み切れません。

移住者を増やす取り組みというのは難しい挑戦です。

一時的な取り組みだけではなく、安心して来てもらえるような、移住者目線での継続的な取り組みを行えると良いのかもしれませんね。

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